降ったねぇ!雪!
寒いし濡れるし雪なんてめんどくせぇ、なんて口では言ってるものの心はウキウキ弾みっぱなし。あはっ白いなぁ、うへっ楽しねぇ。
しかし心のバウンドをいとも簡単に止めてしまう奴らが街中にはびこっている。『平行族』だ。気をつけろ!
昨今は常識で通っている『平行族』だが、万が一の場合に備えて説明しておくと。
『平行族』とはきまって天気の悪い日にわらわらと現れる。しかも屋外では一般人にまぎれて生活するという厄介者で、駅やビルなどに入ると豹変する。ちなみに、さっきまで天気が悪かった場合、これから天気が悪くなる場合には屋外にも現れる。
室内に入った『平行族』はニヒルな笑みを口元に浮かべ、奴ら最大の特徴である『傘』をたたむ。気をつけろ!
たたまれた傘のグリップ部分をギュッと握り締め、傘を、地面と平行に持つ。そして堂々と大手を振って歩くのだ!
傘の先端をビュンビュンと、後ろを歩く人などお構い無しで振り回す(奴らがもっとも力を発揮する場所はのぼりの階段、人ごみなど)。
奴らに欠けているのはデリカシーと広い視野と傘の先端にかかる重力だ。
『平行族』を一時撃退する方法として、自ら傘の先端にぶつかりに行き、奴らが振り向いたところでこれ以上無いくらい迷惑そうな表情を浮かべ、声には出さず、唇を「痛ぁ」と動かすのというのが、もっともポピュラーな方法である。ただ、あくまで瞬間的、一時的な方法だ。
ここで改心するようでは『平行族』は務まらない。彼らは誇り高き戦士だし、少しのことでは物怖じしない、刀を傘に持ち替えた侍だからネ。 逆太郎(やっ!)