設計事務所という場所 : サポーズ日和

2017年 06月 07日

設計事務所という場所

クリエイティブに働くために食堂をつくった。設計事務所に限ることなく、忙しい会社で働くスタッフたちは、時間に追われている。故に食事は、きりの良いところで食事に出かけたり、コンビニエンスストアで買って来て自分のタイミングで食事を済ませてしまうケースも少なくはない。僕もそうやって来たし、それが仕事に支障がないやり方だと思い込んでいた。忙しさが続けば不摂生も続き、体調を崩すこともすくなくはない。食事もいい加減なものばかりを食べていると、身体の細胞達は、その食事が原料となって細胞形成されるわけで、コンビニ弁当ばかり食べているということは、コンビニ弁当が原料となった細胞が形成されるということ。身体の健康だけでなく、思考も細胞が指令をだしてアイデアが出てくる。健康な細胞形成を目指すことが、良いアイデア、良い組織をつくることに繋がるのではないだろうか。スタッフも増え、40人近くの身体のことや、思考のこと、そして家族を持つスタッフも増えてきたこともあり、食べ物から働き方を考える必要があると思うようになった。東京事務所を2008年に富ヶ谷につくり、2014年に桜丘に移転し、おかげさまで仕事は忙しくなったけれど、手狭になってきたこともあり、思い切って広い場所を探してみることにしたのが2016年8月末。すぐに代々木上原から徒歩5分の大山に220m2の物件に出会い、即決して事務所を移転することに。と同時に、食堂をつくることを決めて12月末には引越。引っ越したのは良いけれど、工事が全く追いついていなくて、工事現場の中で仕事、良く言えば設計がその場で繁栄できる素晴らしい環境とも言えなくはないけれど、埃まみれで仕事をスタッフにさせたことは申し訳なかったな。。。年始から食堂スタッフを募集開始して、内装が出来たのは2月末。なんとかスタッフも集まり、ようやく4月1日がレセプション、4月10日オープンという怒濤のスケジュールで進んできた。かなり強引に進めたけれど、決断が自分たちというなんとも早いジャッジなので、それが可能になったんだろう。オープンして2月が経過しようとしている。スタッフはみんな揃って食事をとるようになって、コミュニケーションが増え、食事とミーティングが混ざっていたりして、なんだか楽しそうにしている。健康はまだ効果はこれからかな。設計事務所という場所に、ふらりと近所の人や、まちの人が訪れてくれる。常連さんが来てくれる嬉しさ、本があることの意味、食事を通して知り合う人たち、食堂という存在によって、建築へのエントランスがくぐりやすくなったのかも知れない。そして、ほんの少しだけど、設計事務所に公共性が生まれた。なにげなく手に取った本が建築の本で、家を建てたり、お店を出すときに、建築家に頼むという選択肢もそこに含まれるようになって、少しでも建築家に相談をするということが日常になったとしたら、きっとこの場所をつくったことが意味になる時なんだと思う。そんなことを考えながら、次は広島に。生活を通して建築の魅力を伝えていくと決めて17年、昔と考えていることは変わらないけど、家族のようなチームのおかげで今がある。同じ釜の飯。素敵なチームをつくっていかなければだ。

by supposebiyori | 2017-06-07 14:11 | 考え事 | Comments(2)

Commented at 2018-03-27 02:55

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。

Commented by サワダユリ at 2019-02-10 09:04

初めてコメントさせていただきます。
とても素敵な考え方だと思います。共感します。

建築家の中村好文氏や伊礼　智氏の事務所でも事務所内で
所長をはじめとしたスタッフの方全員で日々買い出し、調理、セッティング各担当制で
当日くじ引きを引いて作業して皆で食卓を囲んでいるそうです。
「食」の場は大切ですよね。
家族もしかり、同じ仕事をする仲間もしかり、友人達もしかり。
美味しい食事と楽しい会話とそこから眺める景色は人生最高の楽しみの一つです。

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