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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
![]() 最近、認知症を抱えたご家族の嘆きを耳にすることが多い。 例えば今日入ってきたのは「特別養護老人ホーム」、いわゆる「特養」の限界。 “介護度が高い『特別養護老人ホーム』になると、基本、回復を求める 施設ではないので、リハビリなどのプログラムがなくなってしまう ことです。リハビリにも保険はかかるわけで、当然と言えば当然 なんですが、運動療法や言語療法はある程度定期的に 行ってくれるものだと思っていたのですが、そういうことをするのは 病院で…”と言われた家族の嘆き。 僕の親父は100歳の時、またエージ・シュートをやると言って張り切りすぎ、脳梗塞と大腿骨骨折を起こし、寝たきりの認知症になった。 老人ホームの手厚い介護とリハビリで徐々に回復したが、ある時「特養」に空きが出来、リハビリなどの設備もずっと充実しているので、期待して移したのだが、やがて状態が悪化し、106歳手前で亡くなった。 移す際に施設の院長から、“ここは現状維持が精一杯なので、申し訳ないが回復は期待せぬよう”と言われ、愕然としたのを思い出す。 もちろん、いまの日本では「特養」に入れてもらえるだけでもありがたいことで、また予算、人手の不足など十分に承知はしてるつもりだったが、これが日本の福祉の現状かとがっかりはした。 しかもこれは特養の抱える矛盾の一つに過ぎない。 高齢者の介護そのものに問題が山積している。 そしてアンチエイジング医学の抱える最大の課題は認知症の対策と言って過言ではない。 ▲
by n_shioya
| 2017-02-20 21:05
| 老年病
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![]() 親しい友人のお父上が数日前に亡くなった。 僕と同年代で、今年の初めまでは至極お元気だったが、この春から体調を崩し食欲も急に衰えたという。 ただご本人はいたって朗らかで、もう充分生きたからこの辺でお暇したいと冗談抜きに家族に言われたという。 ご家族も、お父さんのご意思だからと、余計な手立てはせずに温かく見守ってこられた。 亡くなられた日の朝は、まだ意識もはっきりと家族と話し合っておられたが、昼過ぎから眠り込まれ、そのまま「深い眠り」につかれたという。 知り合いの老年看護学の教授にこの話をしたところ、”幸せな家族ですね”と即座に言われた。 ご本人の意思が確かめにくい場合、延命処置をするかしないか、どちらを選んでも家族に悔いが残ることが多いのが世の常なので、不必要な医療の介入なしに、ご本人の望むままに、天寿を全うされたことへの祝福と僕は受け取った。 ▲
by n_shioya
| 2016-08-10 20:03
| 老年病
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![]() 学習院の講義に「睡眠」を取り入れたので目下勉強中。 色々と眠りのメカニズムについてわかってきたようだが、全貌解明には未だしの感がある。 ことに加齢による不眠症はある意味で加齢による機能低下の一つとも言え、根本的な解決は難しいようだ。 ただ、幾つかのコツというか、心がけるべきことはあると、「よく眠るための科学が教える10の秘密」の著者ワイズマン博士は言われる。 例えば、 ①寝室はなるべく暗さを保つ。 ②日中にはなるべく体を動かす。 ③寝る前にぬるま湯にゆっくり入る。 ④寝る時は楽しいことを考える。 ⑤夜中に目が覚めた時は、眠れなくても横になっているだけでも休まる。 など、など。 また、最近の睡眠剤は習慣性がないので、使用をためらうことはないとよく専門家は言われるが、僕としては常用するようになっては、とまだためらいがある。 ▲
by n_shioya
| 2016-07-31 22:13
| 老年病
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「認知症」は確たる治療法もないまま,今「都市伝説」が氾濫している。
最近発行された文春新書「認知症のための簡単レッスン20」で、著者の伊藤駿也は、それらを含め、最近話題の認知症予防に良いとされるレッスンを20ほど取り上げて検証を試みている。 どれも比較的手軽で、あまり金もかからず,何より害はなさそうなのでご自分にあったものを取り入れてみては如何。 ![]() 例えば食に関しては、 レッスン3:イクラ、大トロ,うなぎは大丈夫! 最近はコレステロールだけでなく、それと一緒に摂取されるリノール酸の害が問題となっているが、これらは多少コレステロールは含んでいてもリノール酸が少ないのでお薦め。 レッスン8:一日二杯のコーヒーで発症リスク低減。 コーヒーに含まれるポリフェノールの一つ,クロロゲン酸が脳血管型認知症によく、その他、トリゴネンはアルツハイマー型の予防になる レッスン9:カレースパイスの神秘的な効き目。 カレーに含まれるスパイスの一つ、うこんがアルツハイマー型認知症の予防になるようだ。 レッスン10:ビールとワインに隠されたパワー。 ワインではレスベラトロール,ビールではホップのなかのイソフムロンというポリフェノールの効用 そのほかライフスタイルとしては、 レッスン15:社交ダンスで母に笑顔が! レッスン19:ギャンブルで記憶力を回復! など、など・・・ どうでしょう,これなら貴方でも。 ただ,アル中やギャンブル依存症にはご注意! ちなみにアメリカのNIHが提唱しているのは以下の八項目である。 ①運動習慣をつける。 ②高血圧の改善 ③人的交流など社会認知活動を増やす。 ④Ⅱ型糖尿病の改善 ⑤地中海食などバランスいい食事を摂る。 ⑥適性体重の維持(生活習慣病の改善)。 ⑦禁煙する。 ⑧うつ状態の改善。 ▲
by n_shioya
| 2015-07-05 17:24
| 老年病
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「こりゃ、チョッとヤバいな」奥歯の治療を始めた歯医者さんが呟く。
「?」 「下顎が勝手に動いて、舌もぴくぴくするんですよ。」 こう言う事のようだ。 本人は自覚が無いが、頤や舌が勝手に動く為に、危なくて虫歯の治療が出来ないと言う。これも高齢者に特有の現象で、 「筋肉の失調症、ま、いわば頤と舌の認知症みたいなものですな」 「では、なるべく動かさないよう頑張りますから,」と言ってその日の治療は無事終了した。 ![]() 年をとれば全ての機能が衰えるとは折りに触れ知らされる事だが、こういう形の機能障害も起こりうると言う事は意識していなくて、ちょっとショックだった。 そこで思い出したのは親父の百歳の時の言である。 百歳で4度目のエイジシュートを、と頑張っていた親父だが、なかなかママならない。 「お前な、ドライバーの飛距離の衰えは正確さでおぎなえる。問題はパットだ。肝心な時に、パッターを持つ手がピクッとと動いて,ピン傍ギリギリの玉を外してしまう。癪だが俺も年だと言う事かなぁ」 でもねぇ、親父。百歳まで年を意識しないできたのは凄いですよ。 ![]() ▲
by n_shioya
| 2014-10-23 21:24
| 老年病
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「こりゃ、チョッとヤバいな」奥歯の治療を始めた歯医者さんが呟く。
「?」 「下顎が勝手に動いて、舌もぴくぴくするんですよ。」 こう言う事のようだ。 本人は自覚が無いが、頤や舌が勝手に動く為に、危なくて虫歯の治療が出来ないと言う。これも高齢者に特有の現象で、 「筋肉の失調症、ま、いわば頤と舌の認知症みたいなものですな」 「では、なるべく動かさないよう頑張りますから,」と言ってその日の治療は無事終了した。 ![]() 年をとれば全ての機能が衰えるとは折りに触れ知らされる事だが、こういう形の機能障害も起こりうると言う事は意識していなくて、ちょっとショックだった。 そこで思い出したのは親父の百歳の時の言である。 百歳で4度目のエイジシュートを、と頑張っていた親父だが、なかなかママならない。 「お前な、ドライバーの飛距離の衰えは正確さでおぎなえる。問題はパットだ。肝心な時に、パッターを持つ手がピクッとと動いて,ピン傍ギリギリの玉を外してしまう。癪だが俺も年だと言う事かなぁ」 でもねぇ、親父。百歳まで年を意識しないできたのは凄いですよ。 ![]() ▲
by n_shioya
| 2014-10-23 21:24
| 老年病
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今日はケープ主催の講習会「褥瘡対策の進歩」で座長を務める。
ケープは褥瘡予防のマットレスのリーディング・カンパニーである。 ![]() 講師は 山田千寿 横浜市立大学病院看護部 館 正弘 東北大学形成外科教授 真田弘美 東京大学医学部老年看護学教授 ![]() 千人ほどの参加者は褥瘡治療に関わる看護師さん。 皆さん実に熱心で、癪だが医者の集まりとは熱気が違う。 土曜日の午後。皆さんご苦労様でした。 ▲
by n_shioya
| 2014-09-06 22:09
| 老年病
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出るべきものが、出るべきときに出なくなることが、如何に辛いかを思い知らされたのは、十年前のことである。
![]() ある夜、便意だけは充分あるのに、いくら力んでも、出るべきものがとば口まで来てるのに出てくれない。出るのは冷や汗だけだ。 苦しい一夜を過ごして、翌朝病院へ駆けつけ、とりあえず浣腸で助けてもらった。 その後、緩下剤やサプリも含め、いろいろな手段を講じても、さっぱりよくならない。 ついに内視鏡で、大腸の検査を受けることにした。 其のときの心境は、癌でもいい、原因がわかれば。そして、人工肛門になれば、もうこの苦しみはなくなるはず、とまで思いつめていた。 幸か不幸か、障害物は見つからなかった。 丁度其のとき、なにかの番組で知り合ったテレビ局のプロデューサーが、この道の専門家という方を紹介してくれた。 いきさつをお話しすると、即座に、 “これは典型的な、「痙攣性便秘」です。普通の便秘の治療では、悪循環でひどくするだけです。” といわれた。 つまりこういうことだ。 “大腸は右下腹部の盲腸から始まって、上行結腸、横行結腸、下行結腸そしてS字結腸へと時計回りに腹腔内でループをつくっている。 上行結腸では液状だったものが、其の行程で水分を吸収され、下行する頃は固形になっている。 したがって上行結腸で痙攣が起これば下痢になるし、下行ならば便秘となる。 だから大腸痙攣の場合、下痢も便秘もメカニズムは同じだ。そこで治療は痙攣を除く、つまり通常なら便秘を起こす薬を使うことになるので、さじ加減が難しい。 このことは医者でも知らない人が多い。” というお話だった。 この専門家の教授のさじ加減で、4種類の薬を服用して、何とか危機を脱することが出来た。 “この病気は習慣性があるので、治るには長くかかりますよ、”とのご託宣どおり、半年経ってほぼ治ったが、まだ、外国旅行などでバランスが崩れると再発するので、少量でのメンテナンスは今でも続けている。 困るのは薬のせいか、ガスが豊富に発生することだ。 僕は30年ほど前の痔の手術の際、再発防止のため括約筋にちょっと切れ目を入れてある。そのため局所の気密が保ちにくい。 もしどなたかの前で、時ならぬときに奇妙な音を発したら、勘弁していただきたい、決してこれは意図的でないので。 ▲
by n_shioya
| 2013-03-11 21:15
| 老年病
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「世界一受けたい授業」で、今日は眼瞼下垂を取り上げていた。
難しい病名だが、要するに上まぶたの開きが悪い状態を言う。 生まれつきの病的なものもあるが、今回問題になったのは加齢によるまぶたのたれである。 生まれつきのものは片側の事が多く、すぐに目につくが,加齢によるものは両側に起こり、あまり気づかない事が多い。 だが、これで見づらくなるし、ひいては頭痛、肩こりの原因にもなりうると、ここ10年ほど前から言われ始めた。 言い出しっぺは信州大学の松尾君だが、その後信奉者が続々と現れ、今日の講師は福岡大学の大慈弥君である。また形成外科医のなかにも、自身で手術を受けた者が何人も居り、その話しを聞いても、確かに効果はあるようだ。 彼らに言わせると僕のまぶたなど、救いようのないほどの重症で、会うたびに手術を薦められるが、目が細いのは子供の時からで、頭痛も肩こりもないからと逃げ回っている。 手術そのものは二重まぶたの手術と同じで、簡単なものだが・・・ “なら,貴方も受けたら”と配偶者までが敵方に回っている。 “きっと良く見えるようになるでしょうし、頭痛、肩こりがないというのは貴方がただ鈍いだけかも知れないわ”と言うのが彼女のいい分である。 ま、事自分の事となると臆病になるのが医者の常で、まだうじうじと悩んでいる。 ▲
by n_shioya
| 2012-07-14 22:24
| 老年病
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あれから2週間。おかげさまでやっと視力もほぼ注射以前に戻ってくれた。
右目を眼帯で塞がれた左目だけの生活は、距離感がなく思いのほか戸惑う事が多かった。 ナイフとフォークが噛み合なかったり、ペットボトルからコップに水を入れるのに、口を真上に持っていったつもりがコップの向こう側に注いで、食卓を水浸しにしたり。 最近は、片目でも視力が十分あれば運転免許はとれるそうだが、これではとても怖くて僕には無理そうだ。 距離感が狂うとこんなことも起こりかねない。 “なによ、手元が狂って胸に触ってしまったですって。 ふん、アホらしい。じゃどこに触るつもりだったの?” これこそ、アホらしい妄想ですな。 ▲
by n_shioya
| 2012-07-13 22:41
| 老年病
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![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日) 以前の記事
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