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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
2010年 08月 21日 ( 1 )
メスこそ命?
外科医のレーゾン・デートル(存在意義)は“切る”ことにある。
患者にメスを入れるという具体的な行為だけでなく、ゴールを定めたら余計なものはすべて切り捨て、最短距離で目的地に到達するよう習慣づけられている。
内科医は反対に、各段階を慎重に検討し、その積み上げの先にゴールが生まれてくる。
これは善し悪しの問題でなく、両者の本質的な差ともいえる。

昔、医学部の頃僕はお茶を習っていた。
官休庵、又の名は武者小路千家である。
お弟子さんはほとんどがお嬢さん方、男は通常僕一人だった。
“お目がお肥えになってよろしいでしょう”と女性の内弟子にからかわれながらも、毎土曜、大学の裏のお屋敷に通っていた。年に数回、京都から若宗匠が出げいこにお見えになった。

お弟子さんの中に、時折姿を現す医師が居た。九段で開業しておられる荒川先生という痔の専門家である。
“将来は何科に進まれるおつもり?”ある日突然聞かれた。
“いや、何科というより、消化器でも、神経でもいいが、一つの臓器で内科外科を統合した治療を一人の医師が試みるのは如何でしょう。”
そのころ獏と考えていたことを口にした。
“そりゃ、あきまへんわ。”と一蹴された。
“何故?”
“外科医と内科医では気風(キップ)が違いますわな。”
と、議論の余地はなさそうだった。

その後自分が外科の道を選んで、荒川先生の言われることがよくわかった。
内科医のようにデレ、デレ頭の中でこねくり回すより、スパッとメスを入れて病巣をえぐり出す方がはるかに性にあっていたからである。
だが最近では、メスの代わりに内視鏡や腹腔鏡を用いた、低侵襲の手法が開発された。これは操作に熟練を要し、時間はかかるが回復が早いからである。しかし僕には向いてない。

そして今美容外科医の立場は複雑である。
レーザー、ボトックス、ケミカル―ピール等、メスを使わぬいわゆる非侵襲性の手法が人気を呼び、そちらに走る美容外科医が急増したからである。
勿論患者としてはメスは避けたい。たとえ効果が薄く、一時的なものでも、痛みや傷跡を残さない方がありがたいのはよくわかる。
だが、メスでなければ解決できない問題もある。
安易にメスを捨てず、いかに、安全に、侵襲を少なく、傷跡を残さずに効果を上げられるか、真剣に検討するのも、外科医の務めではなかろうか。
by n_shioya | 2010-08-21 21:39 | 医療全般 | Comments(2)




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