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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
2009年 10月 29日 ( 1 )
モーツァルトの夕べ
きょうはN饗の定期演奏。
アンドレ・プレヴィンの指揮で、プラハ、39番そしてト短調とオール・モーツァルトプログラム
モーツァルトの曲はすべて、美しさと背中合わせに死の影を感ずると誰かが言っていたが、同時に最高の癒しの音楽でもある、特に今宵は。

僕には横浜市大から北里大学時代を含め、25年ほど一緒に仕事をしてきた助教授がいた。
偏執狂的な自己中が多い形成外科医の中で、(もちろん僕もその筆頭であるが)異色の形成外科医だった。つまり珍しいほどバランスがとれて、まっとうな男だということだ。
彼は講師の時代に、過労も原因で腎不全となり、完全透析に入る。
その時主治医に、5年は保証しますが、と言われたのが心に残っている。
つまり透析の初期の時代で、まだ長期のフォローがなく、5年以上は保証できないということの裏返しだ。

彼を助教授に昇格させようとした時、学部長からは強い反対を受けた。透析患者に助教授のような激務は務まらないというのである。
だが、僕には彼が絶対必要だと、強硬に主張し認めてもらった。
彼はその任を立派に果たしてくれたが、ある時“助教授を5年やると気が狂うと世間では言いますよ”と、彼に笑顔でからかわれたのを思い出す。

また、誠に男らしくがまん強く、一切不満をもらすことがなく、“透析患者は自殺する人が多いそうですよ”などと自分で漏らすユーモアのセンスも失うことがなかった。

だが、やがて透析の合併症、骨粗しょう症で悩むことになる。腰椎も次いで頸椎もぐしゃぐしゃになり、手術による固定が必要になった。繰り返す手術についに関東ではもう、手をつける勇気のある医者がいなくなった。
そこで彼は自分で京都に勇気ある医師を探し出し、何度も京都の病院に入院して、手術を繰り返し受けてきた。

もうこれ以上は無理、という事態になって、家族は彼を古巣の北里大学に移したのが数か月前。
その後容体は徐々に悪化し、今朝6時、ついに彼の闘病生活に終止符がうたれたとの知らせがあった。
透析を続けること30年余。
本当によく頑張ったね、伊藤正嗣君。
by n_shioya | 2009-10-29 23:07 | コーヒーブレーク | Comments(5)




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