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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
2009年 08月 22日 ( 1 )
「林達夫・回想のイタリア」
b0084241_1116255.jpg碩学」とは不自由なものである。
林達夫・回想のイタリア旅行」を読んでつくづくそう感じた。

林達夫は岩波文庫のファーブル昆虫記の訳者として、昔から親しみを持っていた。ちなみに昆虫記は山田吉彦(きだ・みのる)との共訳である。
平凡社世界大百科事典の編集長として知られ、また岩波文化の担い手の人でもあった。

この旅行記は30年前のイタリア紀行に同行した田之倉稔氏が最近になってまとめた回想記である。

氏によると林達夫はその際“「観光旅行」これ以上でも、これ以下でもない、これ以外に定義ができないような旅を目指した”という。
僕流に解釈すると、教養に邪魔されないミーハー旅行を試みたということになるのだが。
でも、そこはやはり学者である。ミーハーの線引きを明確にして、見るべきものと見るべきでないものを峻別している。また、本来は見たくてたまらないが、鉄の意志で割愛しているものもある。

また“「人は見たものについて書くが、私は書いたものを見る」と言う羽仁五郎が言っていたが、僕も今はそんな気分だね、と笑いながらつぶやいた”そうだ。
“林さんは自分の書いたことを確認できて満足しているのだった。”とも書かれている。

今では割引のパック旅行が大流行りで、「観光」でない旅行をするのが難儀になってきている。
だが、そのころはまだ海外旅行が今ほど手軽ではなかった時代であろう。
専門家でなくとも、ある程度の下調べや準備が常識であった。
それをあえて「観光旅行」に徹してと言われたのは、その中身の濃密さを鑑みるとき、やはり林流の「反語的精神」によるものかもしれない。

ま、僕ならそんな面倒臭いことを考えずに、名所旧跡をはしごして、トスカーナのワイナリーを飲み歩き、最後にトレビの泉にコインを投げて、再見を期待するという、「ミーハー」としての自然体に徹するところだが。
by n_shioya | 2009-08-22 22:11 | コーヒーブレーク | Comments(6)




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