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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
2009年 07月 20日 ( 1 )
ドイツの森
“ねえ、アヤ、ベルリンを出ない?もう憂鬱になっちゃった。”
と娘が言いだした。アヤとは僕の家族間での呼び名である。
ヨーロッパの形成外科学会に娘を同伴させて三日目のベルリンである。
午後から学会を抜け出して、東ベルリン、ポッツダムなど観光から戻ったところである。
あと二日で学会を終了し、パリに飛ぶはずだった。
だが、壁の崩壊直後の東ドイツのあまりにも荒んだありさまに、娘はめげてしまったようだ。
“どこに行きたい?”
一瞬考えて
ブラックフォレスト(黒い森)”と言う。

ルフトハンザのオフィスに行って相談の上、シュツットガルトまで飛び、そこからレンターカーでブラックフォレストを回り、ストラスブールで車を置いてパリまで、と旅程を変えてもらった。

シュツットガルトの空港で借り出した車は青いオペルのセダンで、黒い森のアップダウンの多いカーブを小気味よく走ってくれる。
泊りは、以前から一度はと決めていた、ヒンテルツァルテンのパークホテルアドラーであった。マリーアントアネットがオーストリアからパリに御腰入れの際、フランス国境に入る前の最後の晩を過ごした由緒ある宿である。

マリーアントアネットが止まったとされる古い棟に我々は部屋を取った。
リビングスペースの両側にベッドが分かれて置かれている。
“ああ、助かった。”とほっとしたように娘は言う。
ベルリンのホテルは普通のツインだったが、夜便所に行ったとき、足元でグニャッと踏みつけたのが娘だった。ぼくのいびきがうるさくて、ベッドから逃げて便所の床に寝ていたのだった。
“でもなぜブラックフォレストに来たかったの?”
“ブラックフォレストってケーキがあるでしょ。その産地をみたかったの。”
なるほど。あのチョコレートスポンジにチェリーとクリームを挟んだケーキは僕も好物である。

翌日は、ケーキを訪ねて森を走りまわった。
スイスほど急峻ではないが、イギリスの丘陵よりは落差がある。
だが、名前からうけるイメージとは違い、広大な地域全体が昼なお暗き鬱蒼とした森で覆い尽くされているわけではなく、ここかしこに草原も広がっていた。
だがブラックフォレストに限らずドイツは森の豊かな国で、ドイツ国民にとって森は心の故郷と言える。
グリム童話の多くも、その森から生まれた物語だ。

実は今日お誘いを受けて、小澤征爾音楽塾のオペラ「ヘンゼルとグレーテル」を観てきたところである。
出演者も一流で、演出も楽しかった。
そしてあの物語ももしかしたら、ヘンゼルとグレーテルの名前を借りて、ドイツの森の魅力と魔力を唄ったものではないかと、あらためて感じた次第である。
by n_shioya | 2009-07-20 22:08 | コーヒーブレーク | Comments(5)




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