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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
2008年 02月 27日 ( 1 )
美容外科の後ろめたさ
美容外科を受けようかと思い悩む方達の迷いの一つに、後ろめたさという思いがあるようだ。
医師の側でも、これは医療だろうか、医師のやるべきことだろうかと、未だ割り切れぬ感じを抱く者もある。
 
身体髪膚これ父母に受く
この孔子の言葉にずいぶんと我々は邪魔をされてきた様な気がする。
あえて毀傷せざるは孝の始めなり」、と来るからかなわない。
だから、“メスで傷を付けるのは邪道である”、という短絡的な昔の内科医の発想に繋がるからである。
元来は、親からもらったこのからだ、大事にしなさいよという至極当たり前の教えのはずなのだが。

ぼくの父も内科医として、その外科に対する偏見は共有していた。
医学部に最初の夏休み、しきたりにしたがって僕は無銭旅行に出掛けた。
二週間の放浪を終えて、帰宅すると、どうも家の中の様子がおかしい。お通夜でもないが、薄暗く静まり返っている。
すると母が出てきて、実は
“お父さんが盲腸炎で危ないとこだったのよ”
という。
手遅れで穿孔して腹膜炎を起こし、やっと峠を越したところだという。
“なあ、お前。今度は俺も降参したよ。”
と青白い顔をして、ベッド寝たまま、うめいている。
やっと腹膜炎おさまったところで、そのころ煙突と称していた、細いゴムの管が腹に未だ刺さっていた。

そこまで手術を敬遠したわけではないだろう。唯、診療に追われ、自分のからだまで手が回らなかっただけとはよくわかったが。
父も内科医として、必要あれば抜かりなく、外科医に患者をゆだねていたわけだから。
しかし内科にとって、外科に廻すというのは、自分の治療の敗北という感じが、全くないとは言えないようだ。
その気持ちも、わからないではない。

最近では、もうそこまでかたくなに“孔子の教え”を拡大解釈する人は居ないだろう。
たとえ命に別条なくとも、機能を回復する手術も盛んに、幾らでも認められている。骨関節の手術、耳鼻科眼科、泌尿器等、癌でなければ、ほとんどが機能改善の手術と言える。
だが、形のために、つまり見栄えのために、あえて危険をおかしてまで手術を何故するかという考えは、残念だが未だ未だ多い。
それも、火傷や交通事故の傷なら兎も角、全く正常なからだにメスを入れるとは、それも虚栄心のために、けしからん話しだと考える人が未だ多いのではないか。
こうした疑問に対して、自分なりに納得の行く回答を模索をし続けてきた。
そして得た答えが、次に述べる“魔法使い論”である。

もし僕が魔法使いで、杖で一寸触って呪文を唱えれば、たちどころに美女に変身するのなら、おそらくその力を行使するのに何の躊躇もしないだろう。
ならば、魔法使いと美容外科医の違いはなんだろう。と考えた。
当たり前のことだが、我々の手術は魔法ではない。痛みは伴うし、傷は付けるし、そして結果も何時も100%とはいかない。せいぜいのところ、7、80%といったところだろうか。
とすれば、もし“変身願望”を認めるなら、そしてメスでコンプレックスを解消するのが医療としての美容外科なら、なにも疚しさはないはずだ。
その不完全さだけが問題で、それをより完全に近くすべく努力するのが務めである、とこういうことになる。

ぼくはこうして自分のしていることに懐疑的になるたびに、“魔法使い論”に立ち戻って、躊躇う心にむち打ってきた。だが正直なところ今でも、完全に納得したわけではない。
by n_shioya | 2008-02-27 22:23 | 手術 | Comments(9)




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