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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
2007年 08月 28日 ( 1 )
病室と街並の美学
b0084241_13442977.jpg葦原義信の「街並の美学」を読み返している。
和辻哲郎の「風土」に匹敵する名著である。
我々が絶えず求めているもの、それは安らぎではないだろうか。
それを与えてくれるものの一つが、魅力ある街並ではなかろうか。

両先生が指摘されることを平たく言えば我々日本人には“街の景観を美しくする”という意識が乏しいということのようだ。

和辻氏はわが国と西欧との街並の違いを、うちそとの捕らえ方の違いと指摘している。
具体的に言えば、西欧では街の回りを城壁が取りまき、そのなかの住民は共同体として街を守り、また美観を整える。
それに反しわが国では、各個人の家のがいわば城壁であり、そのそとは敵地とは言わぬまでも自分とは無関係の空間である。したがって住民が共同して街づくりに励むという発想は生まれにくい。

確かにヨーロッパの街は、フローレンスやローテンブルグを例にとるまでもなく、家々の形や色合いも統一され、美しさと安らぎを生み出している。

葦原氏は日本の街並の無秩序の要素として、第一次輪郭線第二次輪郭線という概念を強調されている。
街並の形成に当たっては建築の外壁が重要な役割を果している。別の言い方をすれば、建築の外壁こそが街並を決定しているといえる。
これを第一次輪郭線とすれば、わが国の場合は電柱や広告やその他もろもろが外壁すなわち第一次輪郭線にまとわり着いて、第二次輪郭線を形成し、街並をぼやけた、無秩序なものにしてしまう。
そしてそこでは美しさも安らぎも失われてしまう。
出来るだけ第二次輪郭線を排除して、街並を取り戻せ、というのが氏の主張である。
まったく同感である。

同じことが医療面でも病室の壁面の処理や、ベッドを含む家具のデザインについて言えるのではないか。
無遠慮に張り巡らされたコード類。チンドン屋のような安っぽい無様な家具や什器類。
これらが元来苦しい入院生活を更に惨めなものにするのに役立っている。

何も病室をホテル並みにしろといってるのではない。そんなことではかえって医療に差し支える場合もある。
僕が言いたいのは、ちょっとした工夫、いささかのセンスがあれば、もっといえば医療を提供する側が頭をきりかえれば、限られた予算内で病室も、したがって入院生活ももっと快適なものに出来るはずだということだ。

医療関係者の頭の中には、快適であれば医療の質が劣るといった錯覚があるのでは、と毒づきたくなるほどである。

闘病そのもので十分な苦役である。たとえそれを楽しくは出来なくても、せめて“安らぎの空間”を作り出す努力がこれからの医療に求められているのではなかろうか。
by n_shioya | 2007-08-28 22:40 | QOL | Comments(0)




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