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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
2007年 07月 16日 ( 1 )
ただ憧れを知る者のみ
憧れを失ったのね、今の子供たちは。”
ヨーロッパの都市でも、観るるべきものも観ず、体験すべきことも体験せず、ひたすらブランドショップに群がる若い子達を思い出して、配偶者は嘆いた。
確かに一見物質的には満たされているような錯覚を抱かせる日本のあり方の問題だろう。

飢えと渇きに耐え、不条理と向き合い諦念を持つ時、憧れは生まれる。
ただ憧れを知る者のみ、私の悲しみを知ることが出来る!
とゲーテはウィルヘルム・マイスターの中でミニヨンに謳わせた。

b0084241_7204450.jpg一寸飛躍するが、今の日本人は医療に関して錯覚幻想を抱いているのではなかろうか。
今日、小松秀樹氏の「医療の限界」(新潮選書)を読んでそう感じたところだった。

医療の崩壊”が叫ばれて久しい。
小松氏その火付け役の一人でもある。
“日本人が、死を意識の彼方に追いやり、死生観と言えるようなしっかりした考えを持たなくなりました。安心・安全神話が社会を覆っています。メディアに煽られ、司法に裏打ちされて、医療への理不尽な攻撃が頻発しています。”
というのが序文の一節であり、
第一章死生観と医療の不確実性
第二章無謬からの脱却
第三章医療と司法
と続いて、“医療崩壊”の原因とその対策が展開される。

氏の議論は御著書を読んでいただくしかないが、僕は個人的には全く賛成である。

更に個人的見解を付け加えるならば、この現状を作り出した大きな原因の一つとして、保健医療を推進するにあたって “国民のすべてはこの制度の下、最高の医療を受けることが出来る”と見得を切った行政のまやかしの付けが来たといえる。

医療が進歩すればコストは増大する。それを全国民に保障することは初めから不可能である。
しかもこの制度では医療は現物給付なので、患者個人はどれだけ安い医療費が現場のしわ寄せになっているか知る由もなく、かえって医療は無償であるべきという先入観が植え付けられてしまった。
また、医療は供給側が原価に見合う価格を設定できない不可思議な業種である。
ここまでなんとかが持ちこたえたのは、差額ベッドの活用、薬の乱用、無駄な検査そして人件費の締め付けであった。
そして今破綻が明白になった。

死の必然性から目をそらし、安心安全神話をよりどころにし、そのすべての責任を医療従事者に転嫁するのが、今の患者の傾向であり、司法の態度であり、それを煽るのがマスコミというのが、この本で著者が強調したい医療崩壊の一面ではなかろうか。

古来“不老不死”は人々の憧れであった。
だが、そもそも病気とは不条理なものである。そして老化は必然であり、死は不可避である。
対する医療はその限界を認めることから始めなければならないと思う。

ブランド志向からゲーテのミニヨン、そして医療の限界といささか脈絡に乏しい三題話になってしまったが、ブログはこういうものとご勘弁いただきたい。
by n_shioya | 2007-07-16 23:11 | QOL | Comments(0)




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