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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
今日はシチめんどくさいそしていささか危険な話題である。
歯科と医科とのコラボレーションはどうあるべきか、という設問である。 よく、我々はアンチエイジングの三割は歯科領域が占めるという言い方をする。 つまりそれほど、歯科がアンチエイジングに果たす役割は重大だということだ。 たとえば歯周病。ただ歯の問題ではなく、糖尿病、動脈硬化症さらには認知症にも関係場あるという。 また、「見た目のアンチエイジング」の立場から言えば、審美歯科、いわゆるホワイトニングは重要な分野である。 また、歯の矯正で抜歯したり、歯周病で入れ歯に変えたりすると、歯並びだけでなく、口のまわりしいては顔全体の印象が変わってしまうことはよく経験するところである。 というわけで、「見た目のアンチエイジング」というからには、歯科領域もその中に含まれるべきではないか、さらには歯科と医科のコラボレーションはどうあるべきか、という命題を与えられて、一週間先の“歯科アンチエイジングの学会”で講演をすることとなり、その準備に四苦八苦しているところである。 まずはお互いの領域を理解しあうことから始めようと、容貌、皮膚そして体型の加齢による変化とその対策をまとめているところで、それだけで2,3時間のレクチャーになりそうだが、与えられたのは20分であるb。 常々弟子には、自分が話したいことでなく、相手の聞きたいことに話を絞れとか、内容を切り詰めていくことで充実度が増すのは、芸術と同じだなどと偉そうなことを説いているが、いざ自分が喋るとなると、これが意外に難しい。 そもそも医科と歯科とに線引きがなぜ必要か?ここまで考え始めるとわからなくなる。 まず、カリキュラムは相当部分オーバーラップしている。 法律的には医師免許は医療行為すべてを含むが、歯科免許は歯牙とその周辺に限られた限定免許ということになっている。 だが、歯科医師の方々でも、一般的な医学知識は医学生と同様に学んでおられる。 現役時代、東京医科歯科大学や、九州大学の歯学部の口腔外科の医局の先生方をロテーションでお引き受けした経験から言うと、歯科だろうが医科だろうが、出来るやつは出来るしダメなやつはダメであり、ただそれだけの違いだ。 むしろ歯科のほうが特殊技術で、よほど修練を積まないと歯科治療は医師にはできないが、歯科医は通常の医療行為は容易にこなすことができる。 むしろ医者のほうが限定免許に近い。 ならいっそ、歯科と医科の垣根を取っ払ってしまえば、医師不足と歯科医の供給過剰が一気に解決するような気もするが、おそらく医師仲間からは暴論と袋叩きにされるだろう。 まずは僕自身、歯科と医科のカリキュラムの相違を十分検討して見る必要があることは確かだ。
by n_shioya
| 2008-10-05 22:31
| アンチエイジング
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Comments(8)
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vicoprofen at 2008-10-06 00:11
歯科医から医師免許をとって医師になるのは容易ではないのですか?
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きのこ組
at 2008-10-06 10:10
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美しい歯に関して、アメリカはちょいと行き過ぎの感じもしますが、日本はあまりにも歯に関しては発展途上だと思うのですが先生はどうお考えですか?
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ruhiginoue
at 2008-10-06 16:35
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骨盤から移植することを、形成外科でも口腔外科でもやりますが、同様に、整形外科も骨と筋肉の移植など形成外科と境界が議論になりますね。
歯科は免許の問題があり、形成外科は、身体機能を助けるどころか時には犠牲にして審美を目的にするので医学の邪道だと整形外科からの批判がありますね。
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nono_ra at 2008-10-06 18:58
歯科に関する興味深いお話です。
今日は、私のブログでも歯に関する記事を書きましたので、先生の文を一部引用させていただきました。事後承諾で申し訳ありません。よろしくお願い致します。
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n_shioya at 2008-10-06 22:35
vicoprofenさん:
昔は歯学部出身者は、医学部を一年だけ短縮して、国家試験を受けることができ、いわゆるダブルライセンスを取得できました。 その制度がなくなったのか、その後ダブルライセンスの方は減ってきています。
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n_shioya at 2008-10-06 22:39
ruhiginoue さん;
正直なところ、患者は良い医療が受けられれば良いので、それを保証するのが免許であり、専門医制度のはずですが、学会も一つのギルドで、縄張り争いのために、法律もそれぞれ都合よく解釈されるので、部外者にはわかりにくくなることがままあります。
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n_shioya at 2008-10-06 22:40
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n_shioya at 2008-10-06 22:42
きのこ組さん:
矯正歯科、審美歯科、そして歯科麻酔など、確かに全般的には遅れが目立ちます。
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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