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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
今回のパリの学会でホットな話題の一つに、ヒアルロン酸の注入による豊胸術があった。
マクロレーンといって、皮膚の若返りに使われているレスティレンと同じQ-med社のヒアルロン酸製品である。我々世代は、数十年前のシリコン注入によるトラブルの苦い経験があり、乳房に対する人工物の大量注入には抵抗感があるが、ヒアルロン酸はシリコンと違い、生体の構成物質で異物反応は無く、これまでのところ目だった副作用も認められないということで人気が急上昇している。 しかしいずれ分解吸収されるため、反復使用が必要となる。 また、反復使用した場合の瘢痕組織形成による形の崩れや、過敏症の発生など、今後多数症例の長期の観察が必要と考えられるが、いわゆるシリコンバッグの皮膜形成による拘縮問題が解決していない現在、豊胸術の新たな素材として、真剣に検討されてよいのではないかと思う。 すでに日本でも、いくつかのクリニックで使用されており、今回も日本人の発表が予定されていたが、何かの都合でQ-med社の医師の発表にとどまった。 学問の話はそれまでとして、今日は美術館のはしごをした。 まず、汐留に在る松下電工の美術館のルオーとマチス展を皮切りに、上野の都美術館で東光展、〆は国立近代美術館のウルビノのビナス。 最近はただ見てまわるのではなく、数点でいいからよく感じるよう心がけることにしているが、ついつい欲張って観てしまう。 50年前、医学生の頃、始めて日本にルオーが来たときの衝撃を改めて思い出した。 当時医学部に踏朱会という絵画部があったが、全員圧倒されてしばらくはルオー張りの、分厚いマチエールと悲しげな容貌の作品がはやったものである。 ウルビノのビナスは文句なしの傑作である。 だが、乳房の大きさは決して大きくなく、マクロレーンの入り込む余地は在る。 反対に腹部はメタボの基準をはるかに超えるようで、 “こりゃ、妊娠三ヶ月でもおかしくないね”と配偶者に囁くと、曰く “そういえば三ヶ月の頃、自分のお腹を観て、あら可愛らしい形と思ったこともあるわ。” ![]() ちなみに、パリの有名なショーの女の子の乳房は決して不自然に大きくなく、どちらかといえばマクロレーンの注入前程度の可愛さが好まれるようだ。
by n_shioya
| 2008-04-23 22:24
| 美について
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Comments(2)
美術館、私も好きです。
はしごするとヘロヘロになっちゃいますが・・・ 墨絵の素晴らしさを先月知りました。。。
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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