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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
フルブライト留学・・・その2
こうして僕は、ニューヨーク州のオルバニー医科大学で、今度は外科だけのストレートインターンを始めることとなった。

アメリカに現在残された唯一の奴隷制度がインターン制度である,と日本を発つ前に誰かに聞かされていた.だが,僕は,僕に言わせれば,奴隷制度より苛酷なものがあれば,それがアメリカのインターン制度だと,今僕は言いたい.
労働条件だけではない,勿論それも奴隷並みだが,そのあしらわれかたである,非人間的なのは.

最近では少しよくなった,いやインターン制度そのものが廃止されたとも聞くが,僕達の頃は先ず当直が一晩置きだった.
その合間も勤務は普通に行われる.普通というのは一日十六時間以上の労働である.つまり寝るのは一晩置きにまあ,せいぜい四,五時間といった處.その貴重な睡眠時間にアメリカ人のインターンは徹夜でパーティなどして遊ぶのだから,ひ弱な日本人の付き合える限りではない.
しかし慣れというのは恐ろしいもので,そんな僕でも全体の流れに乗ると,なんとか体もついてきて,やがては面白可笑しく,アメリカ人に伍してやってくようになるのだった.

インターン制度の目的は卒後の臨床教育のスタートとして,全科をロテートすることにある.
普通の人は,卒後教育は専門家に成るためのもので,医学部を出た時点で一応は医者が出来ると思っているが,実はそうではない.医者の実地習練を始める基礎が出来ただけと考えたほうがよい.
そこで専門の修行を始める前に先ず医学一般の全般の腕を磨く為にインターンという期間が設けられていたのだ.これは一年間である.一と月づつ別の科を,都合十二の専門の科を一年で回るのがインターンだ.

たったの一月でそれぞれの科を習得させるのだから,仕事の量が滅多やたらに多い,過労ぎみなのは止むを得ない.というのが病院側の言い分である.
むしろ十分な経験が積めるように、患者数とベッド数に見合うだけしか,インターンは採用できないよう,外部機関に監査されている.だが結果的には搾取である事も間違いない.

しかし外科をやる者でも,心筋こうそくの内科患者を扱い,又精神科を志したものでも手術前後の外科患者に接するのは,長い目でみれば甚だ有意義な制度である.

インターンのロテーションにも幾つか種類があって,完全に外科,内科全科を回るロテーティングインターンと,外科サイド中心か、内科サイド中心に回る、ストレート・インターンとに別れていた.
自分の志望が外科か内科がはっきりしている場合,ストレート・インターンをとっておいた方が有利であった.

僕はすでに曲がりなりも陸軍病院でロテーティング・インターンを終えていたので,外科のストレート・インターンをとったのである.
此のころ、僕の興味は心臓外科にあったので、形成外科も回ったはずだが、余り記憶にない。

心臓外科のレジデントになるためには、まず一般外科を修めなければならない。そのまま、オルバニー大学で外科のレジデントをとることとした。
by n_shioya | 2008-04-09 23:59 | 医療全般 | Comments(4)
Commented by 山路純平 at 2008-04-11 02:20 x
塩谷先生へ

修行中の塩谷先生が、
目に浮かびます。

スピード感と、絶妙な話しの展開。

ドラマチックです。

楽しく拝見しています。



Commented by n_shioya at 2008-04-11 18:16
山路さん:
よくやれたと思います。
やはり若かったのと、それだけ身になる修行だったからでしょうね。
Commented by icelandia at 2008-04-11 21:10
このシリーズ、とても楽しみです。というか、このブログをぜひ何らかのかたちで一冊にまとめていただければ、より多くの方にお読みいただけますね。何事もそうですが、創世記と聞くと、私は輝かしく心躍るものを覚えます。名著との出会い、その一期一会が一生を左右するのですね。
Commented by n_shioya at 2008-04-17 22:48
icelandiaさん:
なにに限らずゼロからのスタートは楽しいものです。


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