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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
石井桃子さん逝く
石井桃子さんが亡くなった。

石井桃子さん逝く_b0084241_9434454.jpg享年101というから、大往生というべきであろう。
くまのプーさん」を訳された功績は大だが、僕は「ノンちゃん雲に乗る」が大好きだった。

筋は覚えていないが、主人公の感じ方に類似点がり、また僕のあだ名がノーちゃんでノンちゃんとも呼ばれたりする事があって、主人公に親しみを覚えたのでもある。
50年以上前の話で記憶も定かでなく、その類似点を確認に有隣堂に行ったが、あいにく売り切れだった。

くまのプーさん」の訳本が出たのは1940年だから、太平洋戦争の勃発の前年のはずだ。
もう物資が欠乏して、ボロボロの一冊を皆でまわし読みをして、ピグレットイーよーといったキャラクターに魅せられ、“ハチミチ”だの何だのといったプ-語に笑いこけたのも懐かしい思い出である。

そもそもは一つ年上の姉が見つけてきた。
その姉は、ヨハンナ・シュピリ松田恵子(?)に傾倒し、児童文学の道を歩み始めたが、やがて直木賞作家として、いささか倒錯した世界にのめりこんでいって、今に至る。

そういえば亡くなった弟も、高島屋に勤める傍ら物書きを志したが、テーマはもっぱらSFであった。

肉親の書いたものはそのモデルや背景が分かっているだけに、虚心に作品として読むことが難しい。
しかも、善良な人間は小説にならないので、ことさら恥部をえぐるようにして、憎らしい人物像を作り上げる。
そうして小説の上で好きなように痛めつけられた母親は、亡くなるまで姉とは和解できなかったようである。

僕などはごく早い時期に、書くに値しない陳腐な弟として消されてしまい、以後は幸いに姉の小説にモデルとして登場したことは無い。
弟の小説では、冷酷無比の兄が弟をカプセルに詰めて宇宙のかなたに噴射するという場面で登場した覚えがある。

姉と弟に文才を剥ぎ取られた僕は、いまだかつて原稿用紙の升目を埋めた経験がなく、三年前からこうして、パソコンのキーを叩きながら、たどたどしくブログをつづり物書きの真似事を始めているのも血筋かもしれない。
by n_shioya | 2008-04-05 22:30 | コーヒーブレーク | Comments(2)
Commented at 2008-04-06 12:28
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-04-06 18:46
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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