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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
美の基準作りも侭ならぬまま、美容外科の患者さんと接して、顔の造作に対する不満や、からだのプロポーションに対する注文などを聞き、行き当たりばったりで手術など試みていると、一体美とは何だろうという疑問にさいなまれるようになった。
まずは、美とはなんぞやという定義の問題である。美の基準はあるのかないのか、あるとすれば々美容外科が対応できるか、形にこだわるのはいいことかどうか、美容外科の立場で検証してみたい。 美の基準をうんぬんするとすぐ頭をもたげる議論は、美とは主観的なもので、客観的にしかも数値化するなど、全くのナンセンスだという議論である。 これを英語では、“Beauty is in the eyes of beholder”.という言い方をしている。 確かにそうには違いない。、今のファッション、アートの世界はもうなんでもありで、秩序も法則性も存在しないかに見える。しかし、これは造形の世界で美を追求すれば、これもある、あれも許されるというだけであって、例えば、ピカソのような顔を現実に造ったら、これはお化けの世界である。 谷崎潤一郎が、文章読本のなかでいいことを言ってくれているので紹介する。 「すべて感覚は主観的なものでありますが故に、(中略)結局名文も悪文も、個人の主観を離れては存在しなくなるのではないか、(中略)さような疑いを抱く人に対しては、(中略)お答えしたいのであります。(中略)すなわち感覚というものは,一定の練磨を経た後には、各人が同様の対象に対して同様に感ずるように作られている、と云うことであります。」 谷崎の主張は顔の美醜にも当てはまるのではないか。それでもという方には、ボードレールの言を聞いて欲しい。 「美には二つの面がある。普遍的な八割と、主観的、相対的な二割と。この二面性を認めないのは愚か者である」 だとすれば、僕達がやらなくてはならないことは、まず普遍的な基本線を見いだし、出来れば数値化を試みる。主観的、相対的な面に関しては、ばらつきを生み出す要因の分析を試み、柔軟な対応することではないだろうか。 そこで次なる課題は、美の基準値の割り出しである。
by n_shioya
| 2008-02-08 23:02
| コーヒーブレーク
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Comments(3)
塩谷先生。本日はお忙しい中、取材にご対応いただき、たいへん感謝しております。
先生はスイーツがお好きだとのこと。知っていれば、私のおすすめの品をぜひお持ちしたかったのですが。それは『ラデュレ』というパリの老舗のマカロンです。シャンゼリゼにもお店があり、地元のマダムたちでいつも満員です。今度のパリでの学会のときに是非お立ち寄りください。http://www.laduree.fr/ 特にバラの花のマカロンをいただくと、口の中に官能的でロマンチックな香りが広がり、下手なキスよりも刺激的です(笑)。 今日は先生の取材の後、東京文化会館で『ラ・バヤデール』というバレエを観て参りました。古代インドの寺院崩壊をテーマにしたストーリーですが、ダンスはエレガントで、群舞(コールドバレエ)が美しいロマンチックな作品です。 舞台を見ながら、先生の『美意識』と『ダウト』の話を思い出して、笑が止まりませんでした。 どうやら『バヤデール』の美しいシーンよりも、『ダウトをする塩谷先生のお顔』を想像する方が、私の美意識(美的感受性)にはフィットしたようです。
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n_shioya at 2008-02-09 00:33
宇山さん:
今日はおかげさまで楽しいひと時でした、あらぬことまで口走ってしまいましたが。 マカロンは楽しみです。 でも官能的なのは、本物の××の方でしょうね。 バヤデルカは2年ほど前、レニングラードので見ました、例のルジマトフだったと思います。 パリの学会のとき、オペラ座でバレーは如何ですか?
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n_shioya at 2008-02-09 08:56
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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