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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
シラノの例で分かるように、欧米で鼻の悩みといえば大きすぎることで、ただ鼻の美容整形といえば、低く小さくすることを意味する。
そうしてアメリカで形成外科医として、鼻を削り、コンパクトにまとめることに日夜腐心して来た僕が、帰国して東大病院で出会った初めての患者さんは、若い二十歳の女子大生だった。 “鼻を高くして欲しい”という。 とりわけの美人というわけではないが、色白の、可愛い感じである。 鼻はといえば、細からず、太からず、鼻尖部の大きさも程々で、卵型の顔にちょこんと乗っている。プロフィールは一寸そり気味で、これも理想的だ。 今ならばそれほどのギャップもなかったろうが、八年アメリカで、毎日鼻を低くすることに努力して来た身にとって、彼女の悩みはピンと来なかった。 “何でまたその可愛い鼻を、みっともなくしたいのですか。” ついうっかり感じたまま、問いただしてしまった。 からかわれたと思ったのだろう、二十才の女子大生は、プッと診察室から飛び出してしまった。 こうして僕は、日本での最初の患者を失った。 僕は考え込んでしまった。 海の向こうでは、人はひたすら鼻を削って目立たなくしようとする。わが国では、もっと大きく、鷲鼻でも結構という感じだ。何故こうも違うのだろう。一体、美の基準とは何だろう、そんなものは存在しないのでは。 こうして僕の“美の基準探しの旅”は始まった。
by n_shioya
| 2008-02-06 23:13
| コーヒーブレーク
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Comments(3)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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