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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
“ねえ、ドクター。わしたちのスマイルはプロフェッショナルスマイルに過ぎないのよ。だからいい気になっては駄目。”
そういいながらも彼女は、にこやかに微笑みかける。 金髪に青い瞳。ルージュのあでやかな口元。その間にあるスキーのジャンプ台のような心地よいカーブを描い鼻筋と、ちょっと上向きの鼻先は僕の作品である。 じゃ、今のスマイルもプロフェッショナル?それとも出来栄えにご満足?いやそれとも・・・。僕は都合の良い妄想にふける。 彼女はパンナムのスチューワデス。ユナイテッドに吸収される前、パンナムのスチュー(スチューワデスの愛称)は空色のユニフォームの誇り高き美女軍団だった。 スチューの世界も他の女性職場と同じように、お局さんが仕切っていた。その一人のまぶたの皺取りがうまく言ったおかげで、子分たちが次々に僕のところに来るようになった。目、鼻、乳房そして脂肪除去。なんでもござれだった。 彼女もその一人で、鼻の美容整形を希望して現われた。ちなみに欧米人が鼻の美容手術といえば小さく低くすることを意味する。 “で、そのプロフェッショナルのスマイルと本物とはどうやって見分けるの?” 彼女は笑って答えない。 では今のは?など野暮なことは聞かないでおいた。 今改めて見分け方を考えている。 目元かな? よく“目が笑ってない”という言い方があるじゃないか。 でも、解剖学的には、口元の筋肉が緩めば、目の周りの眼輪筋も連動して緩むはず。 また、眼球自体はただの球形で、大きさも人によってあまり差はない。大きさの違いは眼裂、まぶたの開き具合で決まる。 そして表情で目つきが変わるのも、まぶたとその周辺の皺の寄り方だと教わった。 僕は改めてデズモンド・モリスの人間観察学のバイブル「ボディウォチング」を開く。 あった、あった。瞳の大きさである。“瞳孔はその人が好ましいと感じるものを見ると、正常以上に拡大し、嫌なものを見ると針の穴ほど小さくなる。・・・つまり瞳孔は嘘をつくことが出来ないのである。”と言っている。 あの時は瞳で見分ける知恵は持ち合わせていなかった。 ただ、万事自分に都合よく解釈して生きてきた僕は、あの時の彼女の微笑みもただのプロフェッショナルスマイルではないと決め込んで、お付き合いを深めていった。もちろん節度を持って。
by n_shioya
| 2008-01-08 23:27
| QOL
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Comments(2)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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