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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
素晴らしき、我が仕事
素晴らしき、我が仕事_b0084241_18332592.jpgレストラン三笠会館の情報誌「るんびにい」にエッセイが載ったのでここに転載する。

素晴らしき、我が仕事”というコーナーで、
タイトルは 美容外科とアンチエイジング

「僕が医学部に入ったのは1951年。敗戦後の混乱がやっとアメリカ的秩序で整理されてきたころだった。

当時まだ日本には形成外科は存在していたかったが、なぜか美容外科は“美容整形”という名ですでに行われていた。その頃の記憶をたどってみると、幾つかの美容整形の病院が定期的に新聞広告に載っていた覚えがある。
しかし美容整形は茶の間の話題としては不適当で、猟奇的な目で見られ、ひそひそと話されていたように思う。医学部の講義でも、今述べたように形成外科はまだ存在せず、まして美容整形が取り上げられることはなかった。これは現在でも殆ど同じだが、美容整形といえば「ありゃ医学ではない、あんなのに関るのは医者の面汚しだ」という暗黙のきめ付けがあった。
そんな雰囲気の中で医者の道を目指した僕は、形成外科医として後年その“美容整形の”世界に携わるようになろうとは夢想だにしなかった。

1955年に医学部を卒業した僕は、アメリカに留学したい一心で、米軍病院でインターンをすることにした。その後に経験したアメリカのインターン生活に比べれば、米軍病院のそれはほんのお遊び程度のものだった。しかし日本の医学部で四年間惰眠をむさぼっていた僕には、すべてが驚きで、新鮮だった。

さて、一年間で米軍病院のインターンは終わり、フルブライトの試験も無事通った。こうしてニューヨーク州のオルバニー医科大学で外科のインターンそしてレジデントとしての八年の苛酷な留学生活が始まる。
アメリカの研修制度の特徴は、各科を回りながら自分の専門分野を絞り込んでいくことにある。
どの科も回れば面白くなる。始めは心臓外科を志していた僕も、新しくロテートするたびに迷いが生じた。
中でも魅力を感じたのが形成外科だった。外科の魅力の一つは自分で診断を確かめられることにあるが、今一つは、手で細工をする楽しみである。ことに形成外科では、造形を楽しみ、その仕上がりを確認する喜びがある。皮膚を採取し、引っ張ったりつまんだりして、癌や外傷で失われた耳や鼻を造る。ま、お針子じゃないかといわれればそれまでだが、すべてが機械化し、ロボットが手術もしようという時代に、しこしこ手作りにいそしむアナクロニズムがなんとも魅力だった。

だが、いのちは愚か機能にも別条ないのに、形を整えるためだけにメスを入れることが許されるのだろうか。しかも数ミリの仕上がりのために汲々とするのが男子一生の仕事だろうか。
悩んだ私はたまたまアパートに遊びに来た商社マンの友人に、そのためらいを話した。
「くだらない仕事だ」といわれるのは覚悟の上だったのに、かれは「素晴らしい仕事だ」と答えた。そして驚いている僕の目の前でズボンのすそをめくり、すね毛に隠れたほんの数センチの傷跡を指差し、子供時代にこの傷跡のためにどれほど悩んだかを語ってくれた。
肉体のほんの小さな傷跡の奥に、本人にしか分からない心の傷跡が潜んでいる。形成外科はそれをメスで治してくれる立派な仕事だと励ましてくれたのである。

こうして僕は彼に背中を一押しされた形でフルブライト留学を延長して形成外科に入門し、日本に帰ってからはその延長線上に美容外科を取り込み、更に傷跡の基礎研究から皮膚の再生医療に関るようになり、今はアンチエイジングの世界にもぐりこんで、“見た目のアンチエイジング”という分野を開拓しようと意気込んでいる。」
by n_shioya | 2007-01-12 22:35 | コーヒーブレーク | Comments(1)
Commented by ebisko@nifty.co at 2007-01-13 18:13 x
はじめまして。医療現場においてインターン生は昼夜に関係なく、業務に従事されていることと思います。そこで新商品のお知らせをさせていただきます。
これは、夜間業務をされる皆様へのお知らせです。
夜間業務専用のライトペン 「光ファイバーペン」のご紹介です。
ライトペンですがこれまでのライトペンとは一味違います。
芯露出とスイッチ連動のノック式ですから片手操作でOK!
ライト点灯の ON,OFFは任意!!(世界初)
筆記面だけを照らし、周囲に光を漏らさないので、横の人の目障りにならず、薄暗い劇場や会議などのメモにも最適です。
超カッコイイ!!優れものです。
よろしく~。


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