|
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
最近どういうことかリスカ(リストカット)が増えている。
流行っているといったほうがいいかもしれない。 僕の創傷治癒のサイトにも、ほとんど毎日といっていいほど、リスカの傷跡の相談がくる。 ほとんどが若い女性のようだ。 ある夜など、夜中までに5件も続けてカウンセリングに入り、ぞっとなった覚えがある。 だが、ほとんどがいわゆるためらいキズで、浅く無数に傷をつけただけのようだ。 形成外科の立場から言うと、実はこれが一番修正に難儀するとは、前に一度書いた覚えがある。 本当に自殺する気があるなら、思い切ってスパッとやってほしい。しかも脈を取るときに触る手首の動脈を狙って。(もちろんこれは冗談) ところがこの動脈,指を動かす10数本の腱の横に隠れているので、よっぽど解剖に熟知してないと、腱ばかり切って命は助かってしまう。 もちろん助かるのは結構だが、この腱をつなぎ合わせるのが大事業で、一本一本つないでいくと夜が明けてしまう。 首を切るときも解剖の知識は必須だ。 ターゲットとすべき頚動脈はあごの下に隠れており、初心者はしばしばのど笛をかき切って、つまり気管切開をして声が出ないまま、ヒューヒューさけびながらERに担ぎ込まれてくる。 気管切開の修復はそれほど困難でないが、初志貫徹できずに恥をさらすようなよう悲鳴は聞くに堪えない。 外科学は解剖に始まり、解剖に終わる。 今日の話はこれから医学に取り込もうとする学生に、一見無味乾燥な解剖学の重要性を納得させる為にときたま引用する例であって、医師である僕が決して自殺を奨励したり、幇助することなどありえないので、念のため。
by n_shioya
| 2006-09-22 21:50
| 手術
|
Comments(0)
|
塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
以前の記事
検索
カテゴリ
全体 アンチエイジング スキンケア 医療崩壊 キズのケア QOL 老年病 介護 手術 全身療法 食生活 サプリメント エクササイズ エステティック ヘアケア 美について コーヒーブレーク 医療全般 原発事故 睡眠 美容外科 再生医療 再生医療 未分類 最新のコメント
フォロー中のブログ
ICELANDia アイ... 九十代万歳! (旧 八... ・・・いいんじゃない? 京都発、ヘッドハンターの日記 美容外科医のモノローグ ArtArtArt 芙蓉のひとりごと 真を求めて 皆様とともに... ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
|
ファン申請 |
||