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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
艶福家
かって“一に藤原、二に近衛、三なし四なし、五は何とか”と言う戯言があったという。
藤原は日本で藤原歌劇団を創設したわれ等がテナー、藤原義江で、近衛とはこれも日本でオーケストラを立ち上げた近衛秀麿、敗戦で自殺した近衛元首相の弟である。
二人とも名だたる「艶福家」として知られ、今のはそれをちゃかした序列である。

艶福家と言うと聞こえがいいが、平たく言えば女タラシである。浮気は男の甲斐性とされていた古きよき時代の話である。
しいて区別すれば、女タラしは能動的であるのに反し、艶福家というと受身つまり女性に責を転嫁している感がないでもない。

艶福家_b0084241_1014146.gifなどゴタクを並べたのは、最近評判になった“近衛秀麿・・日本のオーケストラを作った男”を数日前に読み終えたところだからだ。

調べは綿密であり、艶福家の受難の姿も余すところなく描かれていて実に面白い。
また我々世代は、指揮者と言えば近衛秀麿だったが、今殆ど消された感があるのは、NHKの陰謀であったこともよく分かった。

何でこう、わが国は先駆者に敬意を払わないのだろう。特に外国で名を成すと、よってたかってつぶしにかかる。どうしてもつぶせないくらいまで外国での評価が高まると、とたんに手のひらを返したように、ちやほやし始めるが。
ピアニストの原千恵子もいい例だ。あれだけの世界的なピアニストが、いままったく省みられないのは、日本の音楽家たちのやきもちと、ある高名な音楽評論家の意図的な無視によるといわれている。

それはともかくN響もよくなったものだ。
最近又定期会員になったが、学生の頃も、と言うのは50年以上前になるが、定期会員として毎月クラスメートと通っていたが、今考えればあの頃の演奏は哀れなものだった。
殆どの名曲は、昔の78回転の手回し蓄音機で、戦前録音された海外の演奏を楽しんでいた。
始めてウィーンフィルが来たとき、レコードで聴きなれていた音楽が実在するのだと知って衝撃を受けたのだから、滑稽といえば滑稽な話である。特に弦の響きは素晴らしかった。

其の同じN響がカラヤン初来日のときは、見違えるような演奏を聞かせてくれたので、カラヤンの素晴らしさ、そして指揮者の威力を痛感させられた。
もっともウィーンフィルの団員たちに言わせれば、よい指揮者とは俺達の邪魔をしない奴だ、と言うことになるが。

フルトウェングラーを初めとし、指揮者の艶聞には事欠かないが、冒頭の戯言は近衛秀麿の葬式で、団伊玖磨が病床の藤原義江から託された弔辞の一節である。
“・・・僕と違って君の女暦は相当なものだった、にもかかわらず僕は何時も貧乏くじばかり引いていた。・・・それなのに一に藤原、二に近衛、三なし四なし五は何とかと、とてつもないことを云われて、いつもからかわれる材料にされていた。・・・”
読みあげる段になって「これ読めないよ」と団伊玖磨絶句したという。
by n_shioya | 2006-09-03 19:07 | QOL | Comments(0)


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