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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
僕はこのところのジェネリック医薬品の宣伝の仕方に腹を立てている。
「ジェネリック医薬品は、新薬の特許期間満了後(20~25年)に製造、販売される薬のことで、新薬と同じ効き目で、同じ使用法を持つ価格(薬価)の安い医薬品のことです。 ジェネリック医薬品は新薬の約2~7割の価格になっております。」 これは某ジェネリック医薬品メーカーのサイトからの引用である。 新薬のことを業界用語ではピカという。その特許が切れたときの追随品はゾロと呼ばれる。 新薬の開発と承認には莫大な費用がかかる。 今世界的に医薬品メーカーの国境を越えた合併が急速に進んでいるのは、莫大な開発費が一社だけの負担ではまかないきれなくなってきたからだ。 いまのジェネリックのコマーシャルを聞いていると、まるで苦労して新薬を開発したものが不当にもうけすぎているような印象を与え、大切な新薬開発の意欲をそぐことおびただしい。 また薬だけでなく、医療の場合、決して安ければいいというものではない。 しかもいま医療の現場では、ジェネリック医薬品の品質が問題になっている。平たく言えば新薬と同じ効果があるわけでないということである。 一応の審査はあるにしても、新薬の時の治験とはまったく違うし、ジェネリックとして規定されている化学構造は同じでも、その純度または製品化されたものが新薬と同じ組成という保障は無いし、その違いが現場で問題視されている。 どうしてこのような宣伝が横行しているのだろうか。 何か行政と一部業界との癒着関係があるのかも、と勘ぐりたくなる。 またそれもこれも、医療費削減のためであろう。 そもそもいまのわが国の縦割り行政では、医療制度改革といっても、各部署毎のバラバラな理念なき予算削減に過ぎない。 大枠で締め上げて、後はただその枠内での小手先の数値あわせに終始する。 残念ながらいまの官僚には、国民の税金をお預かりしているという意識は皆無であり、本来の使命である国民の福祉は自己の保身、出世のためには袖にするのが霞ヶ関村の掟で、そこで筋を通そうとすればはしたないといって村八分にされるのが落ちである。 官僚もこの辺で面子を捨て、「保険制度のもと、国民のすべては最高の医療を受けることが出来る」という現実離れした当初の謳い文句は所詮無理なことでしたと認め、これからは限られた財源でいかに国民の福祉を保障するかを真剣に考えてほしい。 そのためにはまず、責任逃れに最適の2年ごとの配置転換の制度を改め、減点主義でなく、実績を上げることが出世に繋がるよう、村の掟を改める必要があるのではないだろうか。
by n_shioya
| 2006-08-14 22:39
| 全身療法
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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