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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
梅雨の最中で予報では雨のはずなのに、朝から快晴である。
これなら週末は晴れるかも、と脳天気に限りなく近い楽天家の配偶者ははしゃいでいる。 そんなことは無い、きっとザアザア降りになるよ、と言い返す。 ぼくは徹底した悲観論者である。 何をするにも失敗したときのことを考え、うじうじ心配し続ける。 旅行なども、数日前から新幹線や飛行機に乗り遅れるのでは、と心配ばかりして情緒不安定が続く。無事間に合ってもしっかり次の心配が控えている。 どうして僕はこうなんだろう、とまた悲観的になる。 僕の親父はすべてを肯定的に生きてきた、ポジティブシンキングの無類の信奉者である。 やはりこのポジティブシンキングの脅威から身を守るために、僕は幼児の頃からネガティブシンキングが習性となったのかもしれない。 親父の愛読書は”信念の魔術“という、おそらくこんな馬鹿なこと書くのはブッシュの同類項のアメリカ人しか居ないと思うが、結構評判になった本だった。 確固たる信念を持ってことにあたれば、何事でも成就するというのは、信仰のお題目としてはいいかもしれないが、日常の生活では地獄である。 失敗すればそれだけでなく、お前の信念が足りないからだとたたかれる。これはいわば二重の責め苦である。 弟が早死にしたのは親父の信念の魔術に押しつぶされたのだと、僕と同じく素直にひねくれている姉はいまだに信じている。 数日前、親父がお世話になったゴルフダイジェストの方が見え、ゴルフとアンチエイジングという本を書いてほしいという。 だけど僕はゴルフはしたことがないんですよ、と申し上げると、 そこなんですよ先生。だからこれからゴルフをお始めになってくださいよ。高齢初心者にうってつけのプロをご紹介します。と丸め込まれてしまった。 とその方の代理人がクリニックに見えたのが三日前である。 たまたまかもしれないが、その日になると不整脈が頻発し、上符院長が心配してまず精密検査を受けてください、とゴルフ練習は先延ばしにして、聖路加で心電図、エコーなどをチェックしたのが次の日である。 不思議とその日には、不整脈は雲散霧消していた。 やはりゴルフを始めるという決心がストレスになったのでは、逃げ腰になると、そんな馬鹿なことを言うな、と折角いい鴨になりそうだと期待してたゴルフ好きの友人は否定する。 するとやはり、ゴルフと重なって親父のポジティブシンキングが僕の心臓に暗い影を投げかけたのかな。 げに恐ろしきは幼児体験である。
by n_shioya
| 2006-07-13 12:59
| コーヒーブレーク
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Comments(1)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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