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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
今日はまたとない貴重な体験をした。
アメリカから三人の講師を招き、キレーションの講習会が行われるというので、日曜を犠牲にして参加したのである 内容は重金属中毒の現実、其の対策としての最新のキレーションの手ほどき。すべて新しいことで大変勉強になったが・・・・ 問題は其の実習の時に起こった。 カルシュームEDTAという薬剤、これをキレート剤と呼ぶが、を使用するキレーションで、僕もいま毎週受けているが、すでに何回かこのブログで報告したように、一時間半ほどかけてゆっくり点滴を行えば、何も問題のない安全な手法である。 ところが今回はそれを、点滴ではなく5分ぐらいで一挙に静脈注射するのだという。 5人ほど名乗りを上げたモニターの中には一人は78歳の医師が入っていた。 ほかの4人は問題なく終了したが、其の高齢の医師の番になると、三分の一ほど液が注入されたところで、突然ショック状態になり慌てて救急車で病院に搬送し、そのご血圧も回復し事なきを得た。 講師の説明では、一時的な低血糖か、一酸化窒素による全身の血管の拡張であろうということだった。どちらもキレーションの付随現象の一つでありうるという。 今日のこの出来事で僕が改めて感じたことは三つある。 まず、緊急性のない治療、特に健康維持のための処置は、決して危ない橋は渡らないこと。 だからといって何もしないのでは義務の放擲になるし、又医学の進歩もないから、あらゆる見地から効果と安全性を確認したうえで積極的に治療は推進する覚悟を決めること。 そしてどんな簡単な処置でも、何時何が起こっても迅速に対応できるように整備された環境こそ医療を行う際の必須条件と肝に銘ずること。 医療においてはしばしば、効果を追及すればそれなりにリスクも増大する。この効果とリスクのハザマでわれわれは悩み続ける。 これは人の命を預かった医師の宿命と言うものだろう。
by n_shioya
| 2006-07-09 23:24
| 全身療法
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Comments(1)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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