ウーマンエキサイト ガルボ Exciteホーム | Woman.excite | Garboトップ | Womanサイトマップ
ガルボウーマンエキサイト
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
三つの願い
今日は三度目のキレーションである。

三つの願い_b0084241_722886.jpg左の手首に点滴のボトルを繋がれ、ソファに寝そべってピクチャーウィンドウから外を眺めると、松屋デパートの大きなサインが目に入る。
中は買い物客でにぎわっていることだろう。そして眼下の銀座通りも人の波だ。
あたりにはブティック、レストランが立ち並び、購買欲、食欲を煽りたてている。
銀座は現代人の欲望の渦の中心である。

その欲望が環境汚染を生み、有害物質が体内に偲びこみ、又、自ら限度を越えた過食に走りメタボリックシンドロームに陥る。
その自分で作り出した体の錆や垢を取り除こうと、こうやって僕は点滴で体内浄化を図っている。
なんともあほらしいが、これが人間というものかもしれない。

三つの願い_b0084241_732065.jpg僕は昔のドイツだったかの民話、三つの願いを思い出した。

ある貧しい夫婦が神様からなんでも好きなこと、三つだけ願いをかなえてやろうといわれる。
二人はまず、ソーセージを山ほどとお願いした。
これが第一の願い

そのソーセージの分配で二人は喧嘩になり、ひとりがお前のにソーセージがくっつけ、とさけぶ。
とたんにソーセージは飛んでいって相手の鼻にくっつきもう取れない。
これでもう第二の願いを使ってしまう。

困った二人は、どうかソーセージを取ってくださいと願う。
ソーセージはとたんに離れるが、これで二人はせっかくの三つの願いを使い果たしてしまう。
といった話だったと思う。

よく僕は人の一生はこんなものだと思うことがある。
一生懸命自分達で傷つけあって、やっと何とか修復できても元に戻っただけ。
我々の努力なんて、神様の目から見たら所詮このソーセージの脱着に過ぎないのではなかろうか。

もっと、もっとと金をかけて飽食する。
その結果体内に有毒物質が溜まってしまう。
こうなるとやはりこれは取り除かないわけにはいかないと、またせっせと金を使ってキレーションする。

考えてみると人類の歴史も、戦争と修復という愚行の連続だった。
そして20世紀、我々は遂にプロメトイスの火、核エネルギーを手にする。
だがその結果、原爆というソーセージが人類にとっついてしまった。
このソーセージをなんとかならず者国家の手から奪い取ってください、というのが今我々の三つ目の切実な願いとなっている。
by n_shioya | 2006-06-27 21:32 | 全身療法 | Comments(0)


<< 美女と野獣 いびき >>


woman.excite TOPへ Copyright © Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved.
免責事項 - 会社概要 - ヘルプ | BB.excite | Woman.excite | エキサイト ホーム