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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
リンドバーク夫人の「海からの贈り物」を読み返している。 夫のリンドバークは,“翼よ、あれがパリの灯だ”で知られる、太平洋横断の初飛行のアメリカの国民的英雄である。 その夫人が、あるとき海浜で2週間ほど過ごし、砂浜で見つけたさまざまの貝殻を眺めながら、人生の各ステージになぞらえて、人生論をエッセー風に述べた名著である。そしてそれはまた優れた女性論でもある。 ほら貝、つめた貝、日の出貝、牡蠣、たこぶね、その他いくつかの貝たち。 心を打たれた箇所を引用しようと試みたが、結局本の全文になりそうなので、どうしようか迷っている。 我々夫婦は今ちょうど牡蠣からたこぶねに移りつつあるときだろうか。 それぞれから一箇所ずつ引用することにした。 「(前略)・・・牡蠣は確かに、結婚して何年かになる夫婦生活を表すのに適した貝のようである。 それは生きて行くための戦いそのものを思わせて、牡蠣は岩の上にその位置を占めるために奮闘し、その場所にしっくり嵌って、容易なことではそこから引き離すことはできない。 それと同様に多くの夫婦も、世間で自分たちの場所を確保するのに努力し、それは始めは、家庭を持ち、子供を育て、自分たちが住んでいる社会で足場を固めるのが目的の、肉体的な、また物質的な戦いであり、そういう生活をしている最中には、朝の食事で小さなテーブル越しに二人で向き合う時間はあまりない。・・・(後略)」 そして中年を経てたこぶねのステージへと話は移る。 「(前略)・・・この貝の名まえは黄金の羊毛を探しに行ったイアソンの船から摂ったもので、船乗りにとってこの貝は晴天と順風のしるしになっている。 美しい貝で、それが呼び起こす映像も美しい。 私はその映像をそのままにしておくことができなくて、これは人間と人間の関係が次に達すべき段階の象徴だろうかと考える。 我々は中年になって牡蠣の状態を脱したとき、貝を離れて大海に向かったたこぶねの自由を期待していいのだろうか。 しかし我々が大海で出会うものはなんだろうか。人生の後半が我々に晴天と順風を約束するとは思えない。我々中年のものにとって、どんな黄金の羊毛があるのだろうか・・・(後略)」 僕が下手付け加えることは何もないでしょう。 まだの方は是非これを機会にお読みください。
by n_shioya
| 2016-05-06 21:46
| コーヒーブレーク
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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