|
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
“その子は口が無いんですよ。何とかなりませんか、ドクトール?”と,駐日ガテマラ大使から相談を受けたのは,僕が米国留学から東大に戻って間もなくの事だった。
診察の為に来日した大使の友人のその娘さんは、子供の時に唇の痣に放射線治療を受け,上下の唇が萎縮して閉じる事が出来なかった。 見た目も可哀想だが,それ以上に慢性放射線皮膚炎をほっておくと癌になる恐れがある。 切除して皮膚移植で上下の口唇を造る以外に無い。 いまならばもっと簡便で,効果的な方法もあるだろうが,其の頃の常識としては皮弁,それも首に皮膚のチューブを造り,尺取り虫のように顔に這わし,唇を造るのが最適とされていた。 当然ながら一月おきで十回程の手術が仕上がるまでに必要だ。 幸い裕福な家庭らしく、そのまま一家で帝国ホテルに宿を取って一年近く日本に滞在し、手術を完了して帰国された。その間に十二分に日本観光も果たされたようである。 その後、経過観察をかね,是非ガテマラへどうぞと再三請われたが,何せ遠路である。果たせないまま50年経ってしまった。 経過は良好で,結婚し幸せな家庭を築いたと知らせを受けてはいたが。 昨日、塩野さんの取材を受けているうちに、昔の患者の事をボロボロ思い出したので,これから時折ご紹介する事にする。
by n_shioya
| 2014-11-08 18:54
| 手術
|
Comments(0)
|
塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
以前の記事
検索
カテゴリ
全体 アンチエイジング スキンケア 医療崩壊 キズのケア QOL 老年病 介護 手術 全身療法 食生活 サプリメント エクササイズ エステティック ヘアケア 美について コーヒーブレーク 医療全般 原発事故 睡眠 美容外科 再生医療 再生医療 未分類 最新のコメント
フォロー中のブログ
ICELANDia アイ... 九十代万歳! (旧 八... ・・・いいんじゃない? 京都発、ヘッドハンターの日記 美容外科医のモノローグ ArtArtArt 芙蓉のひとりごと 真を求めて 皆様とともに... ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
|
ファン申請 |
||