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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
“グッドモーニング、サー”といって、中肉中背の精悍な男が、ホテルのロビーのソファーで休んでいる僕に声をかけた。年の頃は60代だろうか。
その男の名前はキース・ベルといった。 元ロイヤル・エアフォースのパイロット。今はスミスアンドネフュー社の要人用のドライバー。 本社のあるヨークからヒースロー空港まで約600キロ。ヨークを出るのが何時になっても、必ず要人の出発便には間に合わすというツワモノである。 前日、顧問として本社での研究打ち合わせを済ませた僕を、彼が「湖水地方」を案内してくれることになっていた。 ![]() キースは「湖水地方」の生まれである。スタートはまず彼の生誕の地、アンブルサイドから始まった。 そこからワーヅワースの生地、コッカマウス、最もプロダクティヴな時期を過ごしたダブ・コッテージ、終の棲家となったライダル・マウント。 更にはラスキンの館、そしてその地方の中心であるケズィックだったように思う。 というのは、イギリスの田園は哲学者出隆が「英国の曲線」という本で述べたように、高い山はないが、なだらかな起伏が続く。そのアップダウンの激しい、またカーブの連続する山間の道を、キースは自慢のBMWをエアフォース時代のスピットファイア(戦闘機)のように縦横無人に走らせる。最後には僕もくらくらしてしまい、どのような順序でまわったかは定かでない。 ![]() 最後がピーター・ラビットのベアとリックス・ポッターのニア・ソーリーだったのはしっかと覚えている。 そこでは、キースが子供時代から可愛がってくれた、モリー・グリーンというおばあさんの家を訪ねたからだ。 その地方独特のスレート造りの、かわいらしい一軒家に住んでいる。もう90歳は越していたと思う。一人住まいだが、身の回りのことはまだ全部自分でやるという。 その日も、ストーブを焚いて、マッフィンを焼き、我々を待っていてくれた。 あれほど素朴だが味のあるマッフィンをその後食べたことがない。
by n_shioya
| 2014-02-28 19:18
| コーヒーブレーク
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![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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