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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
湖水地方の旅
“グッドモーニング、サー”といって、中肉中背の精悍な男が、ホテルのロビーのソファーで休んでいる僕に声をかけた。年の頃は60代だろうか。
その男の名前はキース・ベルといった。
元ロイヤル・エアフォースのパイロット。今はスミスアンドネフュー社の要人用のドライバー。
本社のあるヨークからヒースロー空港まで約600キロ。ヨークを出るのが何時になっても、必ず要人の出発便には間に合わすというツワモノである。
前日、顧問として本社での研究打ち合わせを済ませた僕を、彼が「湖水地方」を案内してくれることになっていた。
湖水地方の旅_b0084241_19165836.jpg

キースは「湖水地方」の生まれである。スタートはまず彼の生誕の地、アンブルサイドから始まった。
そこからワーヅワースの生地、コッカマウス、最もプロダクティヴな時期を過ごしたダブ・コッテージ、終の棲家となったライダル・マウント。
更にはラスキンの館、そしてその地方の中心であるケズィックだったように思う。
というのは、イギリスの田園は哲学者出隆が「英国の曲線」という本で述べたように、高い山はないが、なだらかな起伏が続く。そのアップダウンの激しい、またカーブの連続する山間の道を、キースは自慢のBMWをエアフォース時代のスピットファイア(戦闘機)のように縦横無人に走らせる。最後には僕もくらくらしてしまい、どのような順序でまわったかは定かでない。
湖水地方の旅_b0084241_19174352.jpg

最後がピーター・ラビットのベアとリックス・ポッターのニア・ソーリーだったのはしっかと覚えている。
そこでは、キースが子供時代から可愛がってくれた、モリー・グリーンというおばあさんの家を訪ねたからだ。
その地方独特のスレート造りの、かわいらしい一軒家に住んでいる。もう90歳は越していたと思う。一人住まいだが、身の回りのことはまだ全部自分でやるという。
その日も、ストーブを焚いて、マッフィンを焼き、我々を待っていてくれた。
あれほど素朴だが味のあるマッフィンをその後食べたことがない。
by n_shioya | 2014-02-28 19:18 | コーヒーブレーク | Comments(0)


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