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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
QOLの静と動
“何になさいます?今日のお勧めは有機栽培のグァテマラですが。”
“じゃ、それを。スモールで”
とカップと受け取り、カウンターに座った。
抗加齢医学会で食の重要さを耳にたこができるほど聞かされたばかりである。有機栽培を選ばぬわけにはいかぬだろう、どこまでまたなにが本当に有機か知らないが。
QOLの静と動_b0084241_15395639.jpg

又学会ではアンチエイジングの目的が高齢期の「QOL」にあるということも繰り返し話題になった。
じゃ、その「QOL」って何?
その議論はあまりなかった。
畢竟各人の人生観の問題である。この価値観の多様な時代、これが「QOL」と決めつけるのは困難である。
だが、僕はこれまで「生きがい」を第一に挙げてきた。そして「生きがい」とは先ず、人に必要とされること。少なくもそう感じること、たとえ錯覚でもいいから。
だがコーヒーをすするこの「安らぎ、リラクゼーション」も僕にとっては「QOL」の大事な柱と気がついた。
「生きがい」と「安らぎ」は「QOL」の「動と静」と言える。

だが考えてみると「QOL」は高齢者だけの問題ではない。
人は一生を通じ、それぞれの時期にふさわしい生き方、「QOL」があるはずである。
さかのぼってみると、現役時代はただひたすら、自分の専門分野である形成外科の診療、研究とその普及に生きがいを感じてきた。

では学生時代は?
お恥ずかしいが、パッと浮かぶのは「チョコレート・パフェ」である。
さしたる使命感もなく医学部にとりあえず入ったため、いつまでも目標が見えずもんもんと五月病を長引かせていた。
その僕にとって唯一の救いが、当時新宿に木造2階建てで新築された紀伊国屋書店であった。
階段の踊り場のあたりに、荻須のパリ風景が飾られていたのを思い出す。
洋書や美術書を渉猟して一階に降りると、出口の脇にカフェがあった。
酒の飲めなかった僕は、チョコレート・パフェとコーヒーで閉店までを過ごしたのが懐かしい。
この「静」の6年間があったから、現役40年の「動」の期間を持ち堪えることができたのかもしれない。

「動と静」。
人生どの時期でもその中でまたこのバランスが必要だが、後者が前者に対してウエートが増すのが自然の習いで、これを素直に受け入れるのも、「抗加齢」のコツといえるのでは、とグァテマラ・コーヒーをすすり、静謐の時を味わいながら改めて思った。
by n_shioya | 2013-12-05 15:40 | アンチエイジング | Comments(0)


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