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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
城山三郎の「毎日が日曜日」を又読み返した。
定年を迎える商社マンの生態を巧みに描いた城山三郎の代表作のひとつであり、アンチエイジングに首を突っ込んでいると、定年退職者の生きがいの問題がいつも頭を離れないからである。 そして北里大学を首になってからの僕自身の「毎日が日曜日」のはずの生活と比べてみたかったということもある。 テレビの連続ドラマにもなった「官僚たちの夏」を含め、城山三郎の書いたものはほとんど読んでいるつもりだ。 どの著書も彼独特の「男の美学」で貫かれているが、最も好きなのは短編ではあるが、西中佐の最後を書いた「硫黄島に死す」である。 昔読んだ本を今読みなおすと、一体あのころは何がわかっていただろうと思うことがしばしばである。 それだけこちらが人生経験を積んで、読みが深くなったのかもしれないが、昔のようにただ夢中で読みふけるということが少なくなったのはいささか寂しい気がしないでもない。 今回読み返して知らされたことは、定年退職者の生活や気持ちもさることながら、いわゆるサラリーマンの、特に商社マンの、日本の貿易立国の担い手としてのあまりにも過酷な日々である。 自分の家族も、楽しみもすべて犠牲にして「会社人間」に徹するか、「落ちこぼれ」となるか。城山三郎の描写は生々しい。 サラリーマン生活どころか、特殊な事情でいまだかつて上司に仕えた経験のない僕にとっては、衝撃的でさえあった。 日本のような「運命共同体」としての会社への帰属と違い、個人の能力で勝負するアメリカの流儀になじんできたからかもしれない。 アメリカにも「仕事人間」は多い、その度合いは日本人よりも強烈かもしれぬ、だが、彼らは決して「会社人間」ではない。 彼らには「自分の生活」という不可侵の領分がある。それが時間的には全生活のたとえ数パーセントでも、仕事よりもはるかに高いウェイトを持っているような気がする。 年金といった老後の保障もさることながら、彼らがリタイア後の生活を楽しみにするのは、この「生活の質」に対する価値判断によると思う。 今団塊の世代がリタイアメントに突入しようとしている。 その大半は広い意味でのサラリーマンであろう。 彼らが会社の殻を脱ぎ捨てて、リタイアメント・ライフの意義を見つけるには、根本的な頭の切り替え、気持ちの入れ替えが必要になりそうだ。 そうなるとアンチエイジングの世界でも、体のメンテナンス以上に心のケアが求められるようになるのではなかろうか。
by n_shioya
| 2013-12-04 14:21
| アンチエイジング
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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