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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
美容外科を受けようかと思い悩む方達の迷いの一つに、後ろめたさという思いがあるようだ。
医師の側でも、これは医療だろうか、医師のやるべきことだろうかと、未だ割り切れぬ感じを抱く者もある。 「身体髪膚これ父母に受く」 この孔子の言葉にずいぶんと我々は邪魔をされてきた様な気がする。 「あえて毀傷せざるは孝の始めなり」、と来るからかなわない。 だから、“メスで傷を付けるのは邪道である”、という短絡的な昔の内科医の発想に繋がるからである。 元来は、親からもらったこのからだ、大事にしなさいよという至極当たり前の教えのはずなのだが。 最近では、もうそこまでかたくなに“孔子の教え”を拡大解釈する人は居ないだろう。 たとえ命に別条なくとも、機能を回復する手術も盛んに、幾らでも認められている。骨関節の手術、耳鼻科眼科、泌尿器等、癌でなければ、ほとんどが機能改善の手術と言える。 だが、形のために、つまり見栄えのために、あえて危険をおかしてまで手術を何故するかという考えは、残念だが未だ未だ多い。 それも、火傷や交通事故の傷なら兎も角、全く正常なからだにメスを入れるとは、それも虚栄心のために、けしからん話しだと考える人が未だ多いのではないか。 こうした疑問に対して、自分なりに納得の行く回答を模索をし続けてきた。 そして得た答えの一つが、次に述べる“魔法使い論”である。 もし僕が魔法使いで、杖で一寸触って呪文を唱えれば、たちどころに美女に変身するのなら、おそらくその力を行使するのに何の躊躇もしないだろう。 ならば、魔法使いと美容外科医の違いはなんだろう。と考えた。 当たり前のことだが、我々の手術は魔法ではない。痛みは伴うし、傷は付けるし、そして結果も何時も100%とはいかない。せいぜいのところ、7、80%といったところだろうか。 とすれば、もし“変身願望”を認めるなら、そしてメスでコンプレックスを解消するのが医療としての美容外科なら、なにも疚しさはないはずだ。 その不完全さだけが問題で、それをより完全に近くすべく努力するのが務めである、とこういうことになる。 こうしてぼくは自分のしていることに懐疑的になるたびに、“魔法使い論”に立ち戻って、躊躇う心にむち打ってきた。だが正直なところ今でも、完全に納得したわけではない。
by n_shioya
| 2013-09-05 22:47
| 美容外科
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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