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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
人は何故美を求めるのだろう。
とくに女性は、なぜ美人でなければならないのだろう。 女性週刊誌は、こうすれば貴方も美人にとか、確実に痩せる法などと、“美人への近道ガイド”が毎号ぎっしりと詰まっている。 又フェーシャル、痩身、脱毛を表看板にしたエステサロンは大繁盛だ。 まるで生まれ付きの自分に満足しているのは怠慢だと言われいるようで、“人間の本質は形ではなく心だ”とという建前はかき消されてしまいそうだ。 たしかにそれは建前であって、それだけで本音が納得するとは限らない。 肉体のない霊魂ならともかく、僕たち人間は肉体によって存在し、生きているのだから。 心が肉体に反映するように、肉体も心に影を落としまし、両者は不可分のものだからであろう。 仮に、ヤケドで顔に大きな傷跡が残ったとしよう。その傷跡が形成外科医のメスでキレイに消せるなら、その手術を受けることは、多くの人が当然のこととして納得するだろう。 では、どの程度の傷跡ならみんなが納得するのだろうか。 どんなひどい傷跡でも、当人が意に介さないのなら、形成外科医は手術はしない。 ところが客観的にはそれほどひどくなくても、当人が苦痛に思っているなら、その心の傷を癒すためにメスを入れる必要があるのではないだろうか。 そしてこのことは、鼻の形や肌の皺にも当てはまる。 つまり美容外科というのは、メスで体のキズや形を治すことによって、心を癒す医療である。 私は過去五十年近くを形成外科医として過ごしてきた。 そしてある時は異端視されながら、美容外科にも関わってきた。 その経験を踏まえて、美容外科とはいったいなんだろう、人はなぜ、メスに頼ってまで美を追究するのだろう、そして美容外科はこの先どう進むべきだろうと改めて考えてみたくなる。 美容外科は根底に文化の問題をはらんでいる。 美の基準一つとっても、国により時代により、またひとによりさまざまで、“医療”の範疇から思い切りはみだしている。 今感じていることを一言で表せば 「美容外科とは美を求める女性の執念と、造形の魔力に憑かれた形成外科医とが織りなす、矛盾をはらんだ人間模様であり、社会現象である」 ということになる。 何、さっぱりわからないとおっしゃる? いや実は僕もよく分からんデス。
by n_shioya
| 2013-08-29 22:09
| 美について
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Comments(2)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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