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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
どうして殿方はそんなにバッチイ話がお好きなの、と配偶者にはよく言われる。
だが、男にとって糞尿談ほど楽しいものはない。例の最優先の話題に次いで二番目の関心事である。考えると、一番目の話題もやはり下半身には違いない。 この二つの話題に蓋をしておいて、女性同士では何をどう話しているか教えて欲しいくらいだ。 ![]() 昔イギリス生まれの小説家、オルダス・ハックスレーが、デカルトの“我思う、ゆえに我あり、コギト エルゴ スム”をもじって、“カコ・エルゴ・スム”と言ったときは、良くぞやってくれたと喝采したものである。 品がないので、さすがの僕も訳すのをためらうが、“我糞をする、ゆえに我あり”であると、ラテン語の教師に教わった。 これほど哲学的な深い考察の対象となりうる物の、形状や性質について思い巡らすのは、非常に高尚な趣味と僕は信ずる。 現にあの芥川の名作短編「好色」も僕にとってはその主人公は、“糞”である。 “天が下の色好み”平中こと平の貞文にも、意のままにならぬ侍従がいた。 そして彼女を自分の心から抹殺せんともがき苦しみ、あることを思いつく。 ここは芥川の筆致で、 「だがその姿を忘れるには、――たつた一つしか手段はない。それは何でもあの女の浅間しい所を見つける事だ。侍従もまさか天人ではなし、不浄もいろいろ蔵してゐるだらう。其処を一つ見つけさへすれば、丁度女房に化けた狐が、尾のある事を知られたやうに、侍従の幻も崩れてしまふ。おれの命はその刹那に、やつとおれのものになるのだ。が、何処が浅間しいか、何処が不浄を蔵してゐるか、それは誰も教へてくれない。 ああ、大慈大悲の観世音菩薩、どうか其処を御示し下さい、侍従は河原の女乞食と、実は少しも変らない証拠を。……」 そして鍵は糞だと思いつく。 平中は機会を探し、女の童から侍従の糞の入っているはずの箱を奪い取る。 「この中に侍従のまり(糞)がある。同時におれの命もある。・・・」 その蒔絵の箱を開けると、意外にも丁子の上澄みに、かぐわしい二寸ほどの物が浮かんでいる。 [平中は今つまみ上げた、二寸ほどの物を噛みしめて見た。すると歯にも透るくらい、苦味の交ざった甘さがある。その上彼の口の中には、急ち橘の花よりも涼しい、微妙なにおいが一ぱいになった。侍従はどこから推量したか,平中のたくみを破る為に、香細工の糞をつくったのである。」 ここで僕は、長男が芸大の彫刻科にいる頃、粘土やプラスティックでさまざまな糞を彫塑していたのを思い出す。それを見せる時の彼の楽しそうな顔を。 ところで僕がこれほど糞にこだわるのは、数年前、痙攣性便秘をわずらってから、糞の世界は趣味の域を超えて、毎朝の死活問題になっているからである。
by n_shioya
| 2013-08-27 17:39
| コーヒーブレーク
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Comments(2)
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![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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