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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
街並の美学と病室の美学
葦原義信の「街並の美学」を読み返している。
和辻哲郎の「風土」に匹敵する名著である。
我々が絶えず求めているもの、それは「安らぎ」ではないだろうか。
それを与えてくれるものの一つが、「魅力ある街並」ではなかろうか。
両先生が指摘されることを平たく言えば我々日本人には“街の景観を美しくする”という意識が乏しいということのようだ。
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和辻氏はわが国と西欧との街並の違いを、内と外の捕らえ方の違いと指摘している。
具体的に言えば、西欧では街の回りを城壁が取りまき、そのなかの住民は共同体として街を守り、また美観を整える。
それに反しわが国では、各個人の家の塀がいわば城壁であり、そのそとは敵地とは言わぬまでも自分とは無関係の空間である。したがって住民が共同して街づくりに励むという発想は生まれにくい。
確かにヨーロッパの街は、カルカッソンヌやローテンブルグを例にとるまでもなく、家々の形や色合いも統一され、美しさと安らぎを生み出している。

葦原氏は日本の街並の無秩序の要素として、「第一次輪郭線」と「第二次輪郭線」という概念を強調されている。
街並の形成に当たっては建築の外壁が重要な役割を果している。別の言い方をすれば、建築の外壁こそが街並を決定しているといえる。
これを第一次輪郭線とすれば、わが国の場合は電柱や広告やその他もろもろが外壁すなわち第一次輪郭線にまとわり着いて、第二次輪郭線を形成し、街並をぼやけた、無秩序なものにしてしまう。
そしてそこでは美しさも安らぎも失われてしまう。
出来るだけ「第二次輪郭線」を排除して、街並を取り戻せ、というのが氏の主張である。
まったく同感である。

同じことが医療面でも病室の壁面の処理や、ベッドを含む家具のデザインについて言えるのではないか。
無遠慮に張り巡らされたコード類。チンドン屋のような安っぽい無様な家具や什器類。
これらが元来苦しい入院生活を更に惨めなものにするのに役立っている。
何も病室をホテル並みにしろといってるのではない。そんなことではかえって医療に差し支える場合もある。
僕が言いたいのは、ちょっとした工夫、いささかのセンスがあれば、もっといえば医療を提供する側が頭をきりかえれば、限られた予算内で病室も、したがって入院生活ももっと快適なものに出来るはずだということだ。
医療関係者の頭の中には、“快適であれば医療の質が劣る”といった錯覚があるのでは、と毒づきたくなるほどである。
闘病そのもので十分な苦役である。たとえそれを楽しくは出来なくても、せめて“安らぎの空間”を作り出す努力がこれからの医療に求められているのではなかろうか。 
by n_shioya | 2013-08-01 20:52 | 美について | Comments(4)
Commented by マッツ at 2013-08-03 01:44 x
同感です。今日、アメリカとヨーロッパとアジア各地を回る長い旅から日本への帰路についているところですが、行く先々で美しくデザインされた古いもの新しいものを目にしました。以前より格段に良くなったとはいえ、日本の街並みや家具什器のデザインは、すそ野が広がってはいないように思います。

ただ、昔の江戸の町や京都の町は、建築様式の統一があったので、とても美しい町だっと思います。また生活の中の什器は、美しい民藝として今でも国内外で高く評価されています。

となると、これは国民の先天的な問題ではなく、どこかの時代で日本は町づくりの美意識を失ってしまった、ということになります。

明治の富国強兵の時代か、あるいは戦後の復興の時代か、その両方かもしれません。

ビジネスの場合、こうしたときはベンチマーキングという手法で追いつくことを考えます。要は目標となるベストプラクティスを決めて、そことの徹底的な要素分析と比較を行い、各要素についてすべて追いつくか凌駕する、という考え方です。200年前の江戸、あたりが目標としてはいいのではないかと思います。
Commented at 2013-08-03 13:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by n_shioya at 2013-08-04 21:49
御隠居@横丁さん:ぜひFBでもお付き合いのほどを。
Commented by n_shioya at 2013-08-04 21:50
マッツさん:なんとか魅力ある街造りをしましょう、ハーマン・ミラーにふさわしい街を。


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