|
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
サイトで創傷治癒のカウンセリングを受けていると、最も多いのが傷跡の相談である。
そして最も答えにくいのもこの傷跡の説明である。 ![]() “この私の傷跡消すことが出来ますか?” と聞かれても正直のところ、私を見てみないことにはなんともいえない。そこで一般論を述べることになる。だが質問者が知りたいのは、一般論ではなく、この自分のキズがどうなのかという具体的な答えである。これにはメールのカウンセリングには限界がある。 又、傷跡を消すということの表現に、我々医師と患者のギャップがある。 人の体は皮膚を含めて、傷は瘢痕組織というコラーゲンを主体とした組織で修復され、離断した皮膚はつながり、欠損した部分は充填される。 このコラーゲンは皮膚の構成要素でもあるが、瘢痕組織ではその構築が違うために、皮膚として再生してくれず、あくまで瘢痕組織として存続し、もし消えてしまうと傷は開いてしまう。 これが医学的に言う傷跡であり、我々は“傷跡を消すことは出来ない”と言う。 しかし患者にとって傷跡とは、見てわかるかどうかつまり目立つかどうかが問題で、それが瘢痕組織であろうとなかろうと、どうでもいいことである。 そこで我々はまず傷の治りと瘢痕組織の説明をして、その傷がどのくらい目立たなくなるかを判断する。そして今よりも目立たなく出来るようなら、修正手術を試してみてもいいでしょうとお話しする。 試みてというにはわけがある。 まず、どこまで改善できるかは技術はもちろんだが、その患者の体質、キズの箇所、大きさ、方向などいろいろな要素が絡むからである。 しかも最も難しいのは、どの程度なら患者が満足できるかである。 こちらはある程度仕上がりを予測できても、それを手術前に見せることは不可能である。 又、患者は希望するイメージを持っているが、それを示すことは出来ない。 そこで十分な話し合いが、傷跡の修正の前に必要となる。 この“相互理解”の努力が創傷治癒の分野では、インフォームドコンセントの最も重要な部分となる。
by n_shioya
| 2013-07-26 22:02
| キズのケア
|
Comments(0)
|
![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日) 以前の記事
検索
カテゴリ
全体 アンチエイジング スキンケア 医療崩壊 キズのケア QOL 老年病 介護 手術 全身療法 食生活 サプリメント エクササイズ エステティック ヘアケア 美について コーヒーブレーク 医療全般 原発事故 睡眠 美容外科 再生医療 再生医療 未分類 最新のコメント
フォロー中のブログ
ICELANDia アイ... 八十代万歳! (旧 七... ・・・いいんじゃない? 京都発、ヘッドハンターの日記 美容外科医のモノローグ ArtArtArt 芙蓉のひとりごと 真を求めて 皆様とともに... ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
![]() |
||
![]() |
||
|
ファン申請 |
||