ウーマンエキサイト ガルボ Exciteホーム | Woman.excite | Garboトップ | Womanサイトマップ
ガルボウーマンエキサイト
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
木の精か,パパゲーノ
この木目の美しい木の小箱にはモーツァルトの魔笛の三曲が閉じ込められていて、ボタンを押すと軽やかにメロディーが流れ出す。
これまであまりオルゴールには興味がなかった。が、これは違う。特別である。
先日ご紹介した岩手山麓にアトリエを構える木工の匠、土屋氏の傑作である。
木の精か,パパゲーノ_b0084241_219393.jpg

土屋氏はかっては原宿でカタカナの業界で成功されていたが、一念を発起して山にこもり、気に入った木材というか木の素材を探しては、十年、二十年と寝かせて家具を作ってこられた。
氏の場合、家具を作るというよりは掘り出すと言ったほうがよいかもしれない、ちょうどミケランジェロが大理石の山を見上げ、あの石の塊からビーナスを救い出さなければと叫んだように。
戸棚であれ、椅子であれ、テーブルであれすべて氏の永年の思いがこもって、触れるだけで体がほのぼの温かくなる。きっと木の精が閉じ込められているに違いない。

僕はこのオルゴールを、これも土屋氏の作品である木の大きな机の上にそっと据える。
何の木だったか分厚い無垢の一枚板で片端は二股に分かれている。どっしりと濃い褐色で、似合いの椅子に座ると何か僕でも創作活動が出来そうな気分になる、執筆であれ、デッサンであれ。
そして僕は今、オルゴールのボタンを押す。
ほら、又パパゲーノが歌いはじめた、聞こえるでしょう銀鈴のような音色で。
by n_shioya | 2013-07-02 21:10 | 美について | Comments(0)


<< あの日の鬼畜米英 ベーコンエッグの名残 >>


woman.excite TOPへ Copyright © Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved.
免責事項 - 会社概要 - ヘルプ | BB.excite | Woman.excite | エキサイト ホーム