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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
最近日本では、ホテルでもウォッシュレットを入れているところが増えてきたようである。
またデザインもスマートになり、操作も便座を含めリモコンのものまで現れた。 それを使うたびに僕は軽井沢の夏を思い出す。 八ヶ岳に山小屋を建てる前は、夏はいつも家族で軽井沢の友達のところにお世話になっていた。 こちらは子供5人、友人は子供3人。それぞれがまた友達を連れてくるので、閑静な落葉松林の別荘地で、友人宅だけは餓鬼どもがわいわいがやがや、リンドグレーンのヤカマシ村さながらの喧騒が夏中続いたものである。 あるときそんな賑やかな朝食の席で、僕は友人にかねて温めていたアイデアを話した。 トイレの中からお湯が吹き出るようにすれば、紙で拭かなくても済むじゃないか、と。 そりゃいい、そのあと温風で乾かせば、と彼もすっかり乗り気である。 二人でカフェ・オレをすすり、トーストをかじりながら新式のトイレのデザインに夢中になった。 “ おい、○○ちゃん、”と何を思ったか、彼は娘の友達の一人に声をかけた。 “ 君たちはおしっこのあとも紙を使うんだろ。その時は前から拭くの、それとも後ろから?” “いやらしいお父さん!”と叫んで、女の子たちは逃げていった。 “あなた方、食事の席でそんな話はやめて、”と配偶者達にたしなめられて、我々二人はシュンとなり、大発明はここで立ち消えになってしまった。 これは40年も前の話である。 ウォッシュレットが市場に現れたたのは、それから少なくも20年は経ってからのような気がする。 それが今はもうどこの家庭にも、そしてホテルにまでゆき渡っている。 その開発の歴史は知らないが、夏の軽井沢で僕に閃いた頃は、まだ誰も思いつきもしていなかったのではなかろうか。 ああ、あの時ひるまずに試作品を作り、せめてパテントを取っていれば、今頃はトートーやイナックスが頭を下げてきて、ガッポガッポとパテント料が入っていたのになあ、と、ウォッシュレットを使うたびに、無念さがこみ上げてくる。 あの時あいつが、あのいやらしい一言さえ言わないでくれたらなあ!
by n_shioya
| 2013-04-13 21:58
| コーヒーブレーク
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![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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