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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
北里大学で「形成外科」を開設したのは40年ほど前だが、まず手がけたことの一つが、「美容外科」の併設である。
「形成外科」は火傷や傷跡など、いわゆる「再建外科」が中心だが、「美容外科」も大切で、再建と美容は車の両輪のようなものと主張し続けた。 だが「美容外科」に手を染めるようになって、ある時僕はふと気がついた。 “我々は手術がすべてだが、患者はそうじゃないんじゃないだろうか。誰にしても決して手術はありがたくはない。しかし患者さんが我々のところに来るときは、考え抜いたあげく、自分をきれいにするにはこれしかないと、思いこんでくるわけだ”。 “しかし”、と僕は思った。 “その前にまだまだやれることがあるのではないか。たとえばお化粧。 もし、メークでカバー出来るものなら、それに越したことはない。 手術は危険を伴うし、元には戻せない。又、女性なら必ずお化粧はする。手術の切開線一つとっても、メークを前提としてデザインした方が、遙かに隠しやすいのではないだろうか。” こうして「リハビリメーク」という、新しい試みが始まった。 40年も前の話しである。 このエステとの共同作業は二つの副産物をもたらした。 まず、術後のスキンケア特にマッサージは、傷跡の治りによいことがわかった。傷跡はしばしば赤く盛り上がるものだが、これがマッサージで早く平らに柔らかになる。又、皮膚移植の跡も早くなじんでくれる。 又フェーシャルを受けることが、「カウンセリング」の効果があることもわかった。我々は手術が中心で、どうしても十分に患者との話に時間が割けない。診察室では緊張して、患者も聞きたいことが聞けない。 それが、エステの施術室でエステティッシャンに三十分ほど、ゆっくり顔などマッサージしてもらっているうちに、身も心もリラックスして、気楽に悩みをうち明け、施術者の優しい対応で、心が満たされていく場合がしばしばあった。 こう考えると医師とエステの接点は、広がる一方であり、両者の協力体制がもっともっと推進されれば、患者さんやエステの顧客に対して、よりクオリティの高いサービスが提供できると今でも信じている。
by n_shioya
| 2013-03-22 22:07
| エステティック
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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