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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
手術ミスはなくせるか?
最近は「手術ミス」の報道がやたら多い。
実際に増えているのか、もう隠しおおせない時代になったのか。どちらかといえば後者ではないかと、僕などは思う。
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むかし、むかし大学病院では患者を人と思わぬしきたり、これが村の掟であった。
病人と思うな、研究のマテリアル(材料)と思へ。
一人殺さなければ一人前の医者にはなれぬ、などと恐ろしい言葉が平気で飛び交っていたのが、いわゆる昔の「白い巨塔」の、今でもその気はあるが、医局の風潮だった。

確かに最近の「医療ミス」は、とんでもない、こんなことがあってはならないと思われることが多いが、いわゆるミスの中には本当の意味ではミスと呼ぶべきでないいろいろな問題が含まれている。
いわゆる常識的というのもおかしいが、ヒューマンエラーによる「普通のミス」を中心にすえた場合、その両側にはみ出る、ミスとは呼ぶべきでないない部分が存在する。
このようにミスをあえて三種類に分けて、「普通のミス」からはみ出た二つについて解説を試みると、

まず失敗というより、そもそもが非常識な手術が存在する。
大半は経験不足や不勉強によるものだが、なかには常識的には考えられない行為、もはや犯罪行為といったほうがよい手術もある。どうしてこんなことが起こりうるのか、時折医師の中にも、精神病者に近い、いわゆる精神病質の医師が存在することも否定できない。

その対極が、ミスというよりは合併症と呼ぶべきものである。
例えばどんな名医が注意して行っても、手術の目的、病変、部位などで、あるパーセントは起こりうる、コンプリケーションと呼ばれるものである。
例えば、顔のしわ取りの場合の術後の出血,腸管を開けた場合のやむを得ぬ感染、回復したあとの癒着など、限りなくゼロに近づける努力は必要だが、それでも起こりうるもの。これは当然ながらインフォームド・コンセントの際の最重要な説明義務の部分であり、必ずしも医師の過誤とはいうべきでないものがある。

こう大雑把に区分けしただけでも、いわゆる「手術ミス」といって医師の責任を十派一からげに出来ないことは多少はお分かりいただけるだろうか。

今ひとつ残る問題は、たとえば合併症の場合、法律的に医師に責任がなくても、患者にとってはそのために予定外の、余分な肉体的、経済的負担が生ずることは避けられない。
それに対しては、今の制度では、「医療過誤」と認められない限り、患者に対する保証のめどがたたないので、無理にでも「医療過誤」に仕立てなければならないという一面も出てくる。これに対しての救済処置はそれとして検討されるべきであろう。

手術とて人間の技である。100%の完璧はありえない。しかしそれを、いかにして100%に近づけるか、そのための人間的に可能な限りの努力は必要である。
「手術ミス」を限りなくゼロに近づけるためにこれから求められるのは、まず情報開示とそれに基づく第三者機関による原因の究明、そして対策の探求であろう。

これらは言うは易しいが・・・・・
by n_shioya | 2013-02-27 21:00 | 手術 | Comments(2)
Commented by はまこ at 2013-02-28 17:29 x
はじめまして。塩谷先生のブログを拝見し、先生に診察していただきたいと思いました。現在、診察していらっしゃる医院はございますか?
お会いできれば幸いでございます。
Commented by n_shioya at 2013-03-02 21:22
はまこさん:僕はもう診療をしておりませんので、形成外科、美容外科関係でしたら、聖路加病院か白金の北里研究所病院で,弟子が診療しておりますので,そちらをお薦めします。


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