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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
ユーサフ・カーシュをご存知でしょうか? オタワの写真家で、10年前に94歳でなくなったが、世界の有名人の肖像写真で名声を博した。 チャーチルなど政治家、オードリーヘップバーンなど俳優、そしてアインシュタインなど科学者。 彼にポートレイトを撮られるのが”セレブの条件”とさえ言われた。 以前、ペンシルバニア大学の友人、ウィティカー教授を訪ねた時、オフィスの机に後ろの壁に、自分のポートレイトが飾られていた。 “これ、まさかカーシュでは?” “そうなんだ。ペン大の教授は皆オタワに出向いて,彼に撮ってもらうしきたりがあるんだ。良く分かったね。” カーシュのポートレイトは一目で分かる特徴がある。 スタジオ内の人口照明で、何時間も話しかけながら、その人の内面が浮き出たところで、パッとシャッターを切る。 彼を有名にしたのは、1941年のライフ誌の表紙を飾ったチャーチルの肖像だ。椅子に傲然とかまえ、こちらをグッと睨んでいる。 第二次大戦が始まり、ナチスの猛攻撃に対し、あの歴史に残る獅子吼でイギリス国民を団結させたときである。 此の時カーシュは、チャーチルを座らせたまま、何時間も待たせたという。 トレードマークの葉巻を口にしたチャーチルのいらだちは募る。するとカーシュは、その葉巻をさっと取り上げた。チャーチルは怒り心頭。 その瞬間を捉えたのが此の写真だと言う。 「容貌のメッセージ性」を論ずる時、要は「人相の善し悪し」かと取られがちだ。 日本の政治家を例にとっても、安倍晋三に比べ亀井静香が「見かけ」で損をしていることは、自他ともに認めるところだ。 だが、チャーチルとて決して美男でもイケメンでもない。あえて言えばつぶれた大福のような不細工な顔である。 だが、此の迫力はどうだ。戦時の首相の闘志満々のメッセージがみなぎっている。 我々が「容貌」という場合、決して生来の「造作」だけでない。化粧や髪型などの「装い」も影響する。だが、何より重要なのはその「表情」だ。 ここにその人の「内面」がもろにあらわれる。 カーシュはその「内面」を引き出す天才だった。 又、此れが研究対象としての「容貌のメッセージ性」の難しさでもあり、面白さでもある。
by n_shioya
| 2013-01-18 22:31
| 美について
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Comments(2)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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