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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
アンチエイジングの講演のとき,テーマが何であろうと必ず聞かれるのが,コラーゲン,グルコサミンなどの「飲むサプリの効果」だ。
肌の若返りにとか,膝の痛みによいとかマスコミを賑わしているからであろう。 このところ、腰の痛みにまぎれて,自分の左膝の痛みのことを忘れていた。 実は5,6年前から僕も、左膝の軽い変形性関節炎に時々悩まされてきた。 整形外科の仲間にいわせると,高齢者の7,8割に起こる,ごく一般的な障害だそうだ。 考えてみると,膝は最もストレスのかかる関節である。永年の間,身体の重みを受け、なおかつ,関節面は絶えず擦り合わされ、関節を覆う軟骨は徐々に摩滅していく。 むしろ,7,80年も耐久性を保つことの方が奇跡的と言えるかも知れない。 軟骨が摩滅すれば,それなりに痛みを伴うし,又炎症反応のため関節内にいわゆる水がたまってくる。 完全にすり減って骨がぶつかり合うようになると,痛みは激しくなり,人工関節も必要になる。 そこまででない場合,痛みに対してはヒアルロン酸の注射が効果があるとされている。この際水が溜っていればまず水を抜く。 では,今流行りの再生医療では? 本人の細胞を使った培養軟骨はもうすでに臨床応用が可能になった。ただ,現時点では,保険では未だ,「外傷による軟骨欠損」に対してのみ認められており、最も多い「加齢による軟骨喪失」には使うことは出来ない。 では,グルコサミンなどのサプリメントの内服は? 実は これまでは,このような蛋白成分は,腸内でアミノ酸に分解されてから吸収されるので、真皮や関節などにそのまま到達することはあり得ないから、飲むのは意味が無いとされてきた。 だからといって効果がない訳ではなさそうだ、ということが最近言われ始めた。 その理由は、 ①分解されたアミノ酸は,コラーゲン,グルコサミンなどの原材料として役立つ。 ②又,アミノ酸は完全に一つ一つに分解されるとは限らず,二つ、三つくっついたオリゴペプチドの形でも吸収され,これが何らかの形でプラスに働く。 ③又,アミノ酸が腸粘膜を介して吸収される際、粘膜細胞に刺激を与え,局所に作用する活性因子の分泌を促しているようだ。 という訳で、高齢者の大きな悩みの一つである,「膝の痛み」にも少しずつ解決の糸口が見え始めている。
by n_shioya
| 2012-12-23 23:10
| アンチエイジング
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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