|
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
なにかにつけて問題とされるのは,「医師の適性」である。
入試の面接もその為にある。 だが,これがなかなか難題だ。 たかだか2,30分ほどの面談で,高校三年生の人柄が分かる訳でもない。 また,向こうは受験塾で模範解答を練習してきている。 ま,それを切り崩すのも面接官の手腕の一つだが。 そもそも医師の適性とは何だろう? ①まずは医学を修得する為の最低限の素地。 ②そして患者に対する思いやりの心。 ③そして倫理観 ①に関してはペーパーテストである程度分かるが、僕の私見ではそれほど高度なものは必要ない。少なくも,今塾で指導するような,偏差値が高いから医学部進学を勧めると言うのは、本末転倒の邪道である。 むしろ「偏差値の化け物」のなかには、しばしば臨床医の資質に欠けているものが潜んでいることがある。 また③は,むしろ医学部に入ってからの教育の問題である。 これは医師としての倫理観であり,また最近の技術の発展で様々な手段が可能になったが,可能になったということとやっていいと言うこととには大きな開きがあると言うことの認識。が,これは専門の医師でもまだ結論が出せずに居ることが多い。 最も難しいのは②の人間性に関わる点である。 これがどこまで生来性のものか,医学部に入ってから習得可能なものか。また,どうやってこの優劣を面接で判断するか? 「医師の適性」と言うと,あたかも固定したもので客観評価が可能なように思うかも知れないが、たとえ在ったとしても,高校卒の時点でそれを期待することは無理だろう。 むしろ可能性に賭ける,つまり「医師の資質」と言う捉え方の方が実際に即しているのではなかろうか。 それを一言で言うのは難しいが,「人間嫌いでは駄目」だと言うことははっきりしている。基礎学者ならかまわないだろうが,臨床医はそれでは困る。 では,それをいかに面接で見破るか? 決して,決して簡単なことではない。
by n_shioya
| 2012-08-05 22:22
| 医療全般
|
Comments(3)
Commented
by
HOPE
at 2012-08-10 11:59
x
息子が受験生のころ…塾で成績がいいとやたらと医学部を勧められると聞きました。
また、子供たちが小さなころから学年に一人二人は「医師」「弁護士」になることを決められて(!)いる同級生がいました。 変だよね…という子供たちの感覚、悪くないと思っていますが、これって世間知らずと言われるのでしょうか?
0
Commented
by
n_shioya at 2012-08-11 10:11
HOPEさん:
このような土壌で育った若者に、医師としての自覚を持たせるのは至難の業でもありました。
Commented
at 2013-04-01 04:33
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
|
塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
以前の記事
検索
カテゴリ
全体 アンチエイジング スキンケア 医療崩壊 キズのケア QOL 老年病 介護 手術 全身療法 食生活 サプリメント エクササイズ エステティック ヘアケア 美について コーヒーブレーク 医療全般 原発事故 睡眠 美容外科 再生医療 再生医療 未分類 最新のコメント
フォロー中のブログ
ICELANDia アイ... 九十代万歳! (旧 八... ・・・いいんじゃない? 京都発、ヘッドハンターの日記 美容外科医のモノローグ ArtArtArt 芙蓉のひとりごと 真を求めて 皆様とともに... ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
|
ファン申請 |
||