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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
悩んだ末、学会の特別講演「形成外科の裏街道」の抄録は以下のようにまとめた。
「振り返ってみると、形成外科の歩みは茨の道だった。 今でこそ医学界では、形成外科は当たり前の科であるが、ここまで来るのは苦難の連続であった。 しかもまだ一般には、形成外科という名前さえ認知されていないのにがっかりさせられることが多々ある。 我々が始祖と仰ぐ、16世紀のボローニヤ大学教授のタリアコッチは、決闘で失われた鼻を、当時としては画期的な上腕皮弁で再建を試み、それに成功したが故に、当時の教皇から破門された。 まず僕の言いたいことは、形成外科自体が外科の裏街道を歩んできたということである。 形成外科が再建外科として認知されるのは、20世紀に入り、二度の大戦を経て、戦傷者の社会復帰への貢献度が評価された為といわれている。 再建外科でもこの有様だから、美容外科が認知される為には更に大きな壁を乗り越えなければならなかった。 いや、まだ完全に認知されたといえないのが現状である。 かつてのアメリカの禁酒法の愚行でも分かるように、弾圧されればそれだけアングラ行為がはびこるのは世の常である。 およそこの世の全てには、表と裏が、別の言葉でいえば光と影があるが、美容外科は形成外科の影の部分として、ほぼ一世紀に渡り裏街道を歩まされてきた。 そして裏社会がかもし出すトラブルが、表を歩こうとする者たちの足を引っ張ってきたことも否めない。 このように医学の専門分野に表と裏があるように、更に学会内部にも表と裏の抗争があることは、形成外科に限らない。 しかも、しばしば表裏が反転して、熾烈な逆転劇になるのは、キックボクシングを思わせるものがある。 男性学の大家、札幌医大の熊本名誉教授の説によれば、闘争心の源はテストステロンにあるという。 したがって、歳を取って丸くなったというのは、単にテストステロンが欠乏したに過ぎないというのが彼の持論だ。 そもそも闘争心と向上心の線引きは難しいものがある。 ただ、人命を預かり、福祉に貢献するのが医学の使命とすれば、学会に関わるものも、過去のいきさつを勘案しながら、バランスの取れた発展に努めるべきだろう。」 学会の講演にしては品格がない? でも品格のない医師が多いもので。
by n_shioya
| 2012-02-02 22:13
| 医療全般
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Comments(2)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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