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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
ある感じ
辻村伊助の「スイス日記」を読み返している。
もう何度目だろう。
最初は学生時代、角川書店?出版の単行本で、表紙絵がセガンティーニの「アルプスの真昼」だったと思う。
読むたびにアルプスへの憧れを掻き立てられた。
留学中に僕の蔵書は皆処分され、帰国してから別の出版社からのを買い求めた。

その後学会でスイスに行くようになってからも、何時も僕のお伴をしてくれたのは、心に刻まれた「スイス日記」だった。
そして今読んでいるのは、平凡社ライブラリーとしての復刻版である。
独特の文体で自然の描写は美しく、また出会う人びとはユーモラスに描かれている。

「神奈川県小田原町(現・小田原市)生まれ。東京帝国大学理学部農芸化学科卒。学生時代から登山を行い日本アルプスを踏破。1906年木曽駒ヶ岳・宝剣岳でタカネスミレの新産地を発見。1913年渡欧し、翌年、近藤茂吉とグロース・シュレックホルンに登頂した際、下山中雪崩で重傷を負う。入院先の看護婦ローザ・カレンと結ばれ、1921年帰国、小田原高等女学校で英語を教える。箱根湯本に高山植物園を開いたが、1923年関東大震災で裏山が崩れ、夫人、3児と共に埋没死。3年後の1926年に遺骨が発見され、比叡山延暦寺に納骨された。」
以上はウキぺディアからの引用である。

実は今また読み返したのは、今一度確かめたい彼の言葉があったからである。
それはどこかの山頂で初めてエーデルワイスを発見した時、「“ある感じ”に打たれた。俺が山に登るのは、この“ある感じ”を味わいためだと悟った」と言ったようなセリフである。
僕はこの“ある感じ”という言葉が気に入って、何かの折に使わせてもらったこともある。とりわけ人は“なぜあるものを追い求めるか”、に言及する時など。

だが今、読み返すと、エーデルワイスのくだりでは、彼のエーデルワイスへの思い入れは描かれていても、“ある感じ”という言葉はどこにもない。僕の勝手な思い込みだったろうか? または、その言葉はどこか別の登頂の際発せられたのか?
今、500ページほどの大作を、えっちらおっちら読み返しているのはそのためである。
by n_shioya | 2011-05-09 22:28 | コーヒーブレーク | Comments(2)
Commented by HOPE at 2011-05-10 08:18 x
ある感じ…
気に入られたというのがすごくわかります
目で見えない「ある感じ」が実に雄弁に訴えてくる感じ折々ありますね
そういう感覚忘れたくないなと思い出しました
Commented by n_shioya at 2011-05-10 21:28
HOPE さん:
辻村伊助の「スイス日記」を読み続けること自体、「ある感じ」を追い求めていることに気付きました。


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