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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
白菊会
今日は北里大学の白菊会の集まりで「アンチエイジング」の話をさせていただいた。

白菊会とは献体といって、御自分の遺体を医学性の解剖のために供されようという篤志家の集まりである。
全国の医学部に設けられている組織でもある。

300人余の参加者を前に、医学部長、解剖学教授そして実習を終えたばかりの学生の挨拶、謝辞を聞きながら、半世紀も昔の、始めて御遺体を前に震える手でメスを握ったこと気のことを思い出した。

医学は解剖学に始まり、解剖学に終わるといっても過言ではない。
解剖実習は、医学生が初めて「医の道」に接する厳粛な儀式ともいえる。
そう、なんといったらよいか、医者になるとはこういうことなのだ、という複雑なそして身の引き締まる思いがしたことを覚えている。

解剖学とは人体の地図であり、海路図である。
地図を英語ではアトラスと言うが、解剖図譜もアトラスと呼ぶのは故なきことではない。

文字通りの骨格、それを包む筋肉、全身を覆う皮膚、網の目のように張り巡らされた血管、神経、そして中に包まれた心臓、肺、消化器、脳などの臓器。
それらをメスとピンセットで確認する作業。
また、必死になって覚える無数のラテン語の解剖用語。
その有難味がわかるのは、4年後に国家試験をクリアし、一人前の臨床医として患者さんを診るようになってからである。
其の時初めて、解剖実習でばらばらに解体された人体のパーツが、一つの有機体となって息づき始め、また、病気によって発する不協和音が聞こえてくるようになる。

今改めて、僕の医学部一年生としてのスタートを助けてくださった御遺体の主に感謝するとともに、これからの北里大学の医学生の教育を支えてくださるであろう白菊会の会員の方々に御礼申し上げます。
by n_shioya | 2011-04-20 22:15 | 医療全般 | Comments(6)
Commented by 序破急 at 2011-04-20 22:56 x
音楽の理論書もアトラスと言いますね。構造と調和の分析ということなのでしょうか。
Commented by n_shioya at 2011-04-21 15:58
序破急さん:
それは知りませんでした。
言葉は面白いですね。
確かもともとはギリシャ神話のタイタンのひとりで、何かの罰で天を支得させられたと聞いていましたが、調べてみます。
Commented by artartart100 at 2011-04-21 18:56
夫と猫2匹で西町に住んでいます。先生のブログを読ませて頂く時は、いつからか、自分が青春真っ只中の仔猫のラッテになっているような気がしています。若々しく、好奇心のアンテナをピンと張って機嫌よく読ませていただいてます。うれしい時間です。西町のことですが、永く住んでいる町なのに、最近になって、やっと西町のアトラスを身近に感じるようになってきています。ずいぶんと晩生の住人です。

Commented by n_shioya at 2011-04-21 22:38
artartart100 さん:
好奇心こそアンチエイジングの妙薬ですね。
Commented by artartart100 at 2011-04-24 01:02
個人的な事件です。あることで私は相手の欺瞞や自己保全の浅ましさを憎みました。はっきりと表に出すことも無く、しまいこまれた強い憎しみは、時に、私自身、意気地のなさや、事なかれ主義を恥じル気持ちになったり、100パーセントのイノセントが自分にはないノダと思ったりして、頭の中はそれらが、憎しみと一緒にいつも同居していました。戦うのか、あるいは戦う自分をやめるのか、選択は2つに一つしかないなのでしょうか?自身、表面に現れたことといえば不機嫌になったり、小さな爆発をやらかしたり、たまには憎しみを声に出したりしたこと位でした。憎しみは消えずに、不細工な状態のまま、年月は経って行きました。最近になって、思いもかけなかったことですが、自身が少し、強くなれたように思えるのです。強い憎しみはいつか形を変えることができるのかもしれません。望むべく、ヨキモノへと形を変えられると信じたいです。憎しみもまた、力なのでしょうか?許せなくとも、同時に若々しい魂でいたい!(先生のブログを読んで、思いが原発から遠くに飛んでゆきました。。。笑)

Commented by n_shioya at 2011-04-24 21:10
artartart100 さん:
青色ダイオードの中村修二氏が、自分の研究のバネは憎しみだと言っておられましたが・・・


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