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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
先日の再生医療のセミナーでは、ホールの後ろに車いすが並んでいたのが印象的だった。
せき髄損傷の方々である。 再生医療でせき髄損傷の治療が可能になるのでは、と期待を持って参加されたようである。 だがこの問題の専門家のパネリストは、“残念ながら現在は動物実験でその可能性が示唆されるだけで、人間に応用可能になるにはまだ道のりは遠い。又、せき髄損傷といっても、その部位、程度、時期など様々なので、一概にいつごろ可能になるかといわれても、申し訳ないがお答えしにくい。“と恐縮してお答えになっていた。 再生医療というのは、失われた臓器を、本人の細胞を培養加工して補てんする技術と考えればよい。 臓器の補てんにはそのほかいろいろな試みがある。 まず人工臓器。 代表的なのは人工心臓である。また体内に埋め込まれるわけではないが、腎不全の患者に使われる人工透析もその一つと考えてよい。 そして臓器移植。 他人の臓器を使うものとしては、腎移植、肝臓移植、そして心臓移植などがある。これで救われる患者は数多くあるが、拒絶反応との闘いが悩みの種である。 皮膚の場合は、よほどの広範囲でない限り、本人の皮膚を使う自家移植が可能である。だが、そのサプライには限りがある。 再生医療の基礎となるのは、幹細胞といって、臓器のもととなる未分化の細胞を培養で増やす技術である。 最も未分化の細胞はES細胞といって、胎児の初期の細胞である。これはすべての臓器に分化しうる。だが、この作成には倫理的な問題を伴う。 山中教授の開発されたiPSというのは、分化した皮膚の本人の細胞を遺伝子操作で、山中先生のお言葉を借りれば、“捻じ曲げて” ES細胞レベルまで戻す手法で倫理的な問題はない。しかいその無理がどう将来現れるか、これからの課題だそうだ。 結論から言うと、iPSは再生医療の一つの有望な手法であるが、実用化への道はまだほど遠い。 すぐにも応用可能なのは、iPS細胞で作成した臓器を、実験用の臓器モデルとして、病態の解明や治療の効果判定に使うことのようだ。 これが現状ではあるが、車いすの方々のためにも、そして他の臓器不全、欠損で悩む方々のためにも、一日も早い山中教授らの研究の完成を祈っている。
by n_shioya
| 2011-01-18 22:06
| 医療全般
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Comments(2)
科学の進歩と臨床の進歩はタイムラグがありますね
どうにも仕方ない問題なのでしょうが、当事者たる患者さんとご家族をはじめとする周囲の方々の思いを真摯に受け止める方がこのような発見をなさったのかと感慨深いです 各方面から大勢の方々がチームとなって進もうという動き、これは科学者としての立場のみでは実現しにくい様々なケースのモデルになるといいなぁと思います 原因不明、治療法がないと思われてきたものの病態が解明の道を得て治療の可能性が出て来たことがまず大きな一歩ですね 素晴らしいと思います 願わくば神様に少し時間をゆっくり進めて頂いて更なる進歩に早く繋がるよう祈ってしまいます
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![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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