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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
“美しきものは永久の歓び”(エンディミオン)などと、詩人キーツが能天気に歌い上げている陰で、どれほどの容姿に恵まれぬ女性が苦しんできたことか。
「見た目より心」といった建前をよそに、女性の美はそれを持つ者も持たぬ者も、又それを享受する男性も含めて、振り回してやまない「特性」である。 政治学というより力学といった方が著者らの主張に近いのではなどと、ラコフとシェールの労作「フェイスヴァリュー・美の政治学」を読み終えて、感慨にふけっている。 女性の美について、これほどあらゆる角度から、自身の心理も分析しながら、真っ向から取り上げた著書があったろうか。 僕自身「美容外科の真実」を書くにあたって、“美”と格闘したのを思い出す。 女性の美とは、主観か客観か、人はなぜ美を求めるか、そもそも美とは何ぞや?等々。 そのあまりにも奥深さに、唯問題提起に終わってしまった。 だがこの本を読むことで、さらに問題を奥深く追及する。 女性は幼いころから美醜の問題に苦しめられる。 しかも容貌は生来のもので、自分の努力で変貌はできない。 そして美貌すら、加齢という宿命、つまり年の衰えには勝てない。 それに引き換え男性の評価の基準は能力であり、これは努力で改善の余地がある。 このような矛盾をはらんだ“美”を軸に、女性同士そして女性と男性の、丁々発止の政治が生まれるというのが、著者らの分析である。 今僕が抱えている、美の基準とは?容貌のメッセージ性、そして美しく老いるとは?といった問題点に、女性の立場からいろいろと示唆を与えてくれそうな労作である。 ただ、残念なのは翻訳があまりこなれておらず、原文を想像しながら論旨を推測しなければならない個所が散見した。
by n_shioya
| 2010-09-22 21:42
| 美について
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Comments(4)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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