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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
再び大森先生
大森先生は人心を収攬する術にもたけていた。
弟子たちといっても皆、もう一人前の医者である。そう言いなりに動くものではない。
“塩谷君、あいつらをコントロールするコツを知ってるか?”
“いえ?”
“まず、弱みを握ることだ。金の問題だろうが、女だろうが、患者とのトラブルだろうが、何か問題は抱えているものだ。そこに助け船を出して弱みを握ってから首根っこを押さえつける。これがコツだ。俺はそうして君臨してきた。”

“その女だが、君、決して素人には手を出すなよ。金で解決できる奴だけ相手にしろ。
ま、なんかトラぶったら俺にすぐ知らせろ。面倒にならぬうちにけりをつけてやるから。”
“へぇ”とだけ答えるしかなかった。
不幸にして僕にはそれだけの余力も、甲斐性もなかったのでこの領域で先生のお世話になることもなかったし、首根っこを押さえられずに済んだ。

先生ご自身はそのころ60台だったはずだが、まだまだお盛んなようだった。出入りの業者さんから言われたことがある。
“朝鮮ニンジンだの、ヨヒンビンだの年中お届けさせられるんですよ、お若いですね。”

その乱用がたたったのか、ついに心筋梗塞で倒れられた。バイパスだの、カテーテルだののなかった時代である。それに、皆に隠してニトログリセリンを飲み続けていたらしいことが分かった。
それが奇跡的に回復され、又仕事に復帰された。
もっと休まれてと気遣う我々に対し、“君たちな、心筋梗塞は治った後は瘢痕で固まって、鉄筋コンクリートのように頑丈になるんだ。”といって、それまで以上に活躍された、10数年後に芦の湖の遊覧船上で再発作を起こされるまでは。

実はその時は僕が会長として日本美容外科学会を箱根で開催し、船上で懇親会を行ったのである。
11月ですでに寒いときだった。
すぐに応急処置を施し、地元の病院を経て警察病院の集中看護室に移送した。
だが年を越して間もなくお亡くなりになった。

ひたすらお詫びを続ける僕に、御夫人は反対にこう慰めてくださった。
“武士が戦場で死んだのですから、本人も本望ですよ。”と。

いずれ僕も余裕ができたら、「大森誠一一代記」でも書かせていただきたいし、又十分にその材料は持ち合わせている。
by n_shioya | 2010-06-21 22:49 | 医療全般 | Comments(2)
Commented at 2010-06-21 23:41 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by n_shioya at 2010-06-22 22:42
ローズマリー さん:
はい、承知しました。


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