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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
人体クモの巣説
この頃は天気さえ良ければ、庭の寝椅子に寝そべって、本を読んだり、空を眺めたりしていることが多い。
狭い庭だが、手入れを一寸怠ると、あっという間に蜘蛛の巣が張られてしまう。
ファーブルの昆虫記だったかに、その蜘蛛の鮮やかな仕事ぶりが書かれていたのを思い出す。まず放射状に縦糸を張り、次いでぐるぐる回りながら横糸を張り巡らす。
人の体というか人間の生命維持の巧みな仕組みを、ヨットの「復元力」や「羅針盤」などに例えてきたが、この「蜘蛛の巣」も人体の巧みを示唆しているのに気づいた。

蜘蛛の巣は放射状の縦糸とサークル状の横糸で編み目をつくっている。
縦糸が心臓とか肝臓とか各臓器に当たるとすれば、横糸は免疫系とか、ホルモン系とか各臓器を繋ぐ共通の系と考えられないこともない。
血液や神経系などは、横糸に入れた方がよいかもしれない。
ま、縦横はどちらでもよいが、僕が言いたいことは人体の各臓器、各系はこの網の目の様に繋がっているということだ。
そして蜘蛛は中心に陣取っていることあるし、辺縁部に隠れていることもある。
だが、どんな離れたところにいても、獲物がかかればその緊張はすぐに編み目の全体に波及し、蜘蛛はその緊張の源を察知しさっと獲物を捕らえる。

人間の体も同様で、一つの臓器、一つの系に起こったことは何らかの形で全身の系や臓器に波及すると思ってよい。
その為、医者によっては、自分の専門とする系や臓器をターゲットとして治療すれば、万病に効くと錯覚し、主張したがる方もいる。だが、これは我田引水というものだ。

我々医師には、この網の目の様な人体の各部位の連携を認識すると同時に、当面の震源地がどこか見極めるという、バランスのとれた判断と対処が要求されるのではなかろうか。
by n_shioya | 2010-06-09 23:03 | 医療全般 | Comments(3)
Commented by HOPE at 2010-06-10 08:18 x
ふむ…
とても面白い例えで妙に合点が行ってしまいました
もしかすると、西洋医学が、一番わかっているのに一番「表向き」認めないで来た面ですよね
漢方やハーブ、そのほかヨガなどの呼吸法などなど…多くの分野が全体から入るのに、局所しか見てはいけないかのような…
素人ながらうまく融合すればいいのにと思ってきたことが、こんな風にきれいに例えられるとうれしくなってしまいます
蜘蛛の巣って一つも同じ模様がないんですよね
それまでピッタリなので面白いです
Commented by 御隠居@横丁 at 2010-06-10 22:01 x
科学はもともと科の学、細かく専門化された正確な知識ということだそうですけど、医学は古い学問だけにその度合いが著しいですね。
それが人間の習性である、自分の知識の範囲でしかものを判断できないこととからまると、ご指摘のようなことが起きるのでしょうね。
細分化した知識ならばいいけど、それが専門家としての自己の存在理由ともあいまって、科学の客観性を失い、万能のドグマになってくるのはねえ。
Commented by n_shioya at 2010-06-11 23:10
御隠居@横丁 さん:
なるほど、科学の本質にかかわる問題ですね。


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