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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
先日テレビの特集で、単独でヨットの世界一周を達成した日本人のドキュメンタリーがあった。
いちばんの難所は南半球にある荒海のベルトだそうだ。 彼はそこで4回も転覆を経験したという。 実はヨットは浸水しない限り、絶対に沈没しない。完全に横転しても、又、180度転覆しても、帆を畳めばまた元に戻るように設計されている。 これを「復元力」と言っている。 人間の体もこれに似たところがある。 どんなにストレスが外力がかかっても、元に戻ろうとする力が働き、通常は本人が知らない間に回復してくれる。 ただ、これが度を超すと、病気になったり、果ては死にいたる。 我々は病気になってから慌てふためく前に、もっとこの復元力に敬意を払い、その強化を図るべきではなかろうか? 殊に加齢とともにその復元力の幅は狭くなるので、これをサポートするのが抗加齢と言えないこともない。 実はこの復元力と呼べるものには、さまざまな働きがある。 中でも神経系や内分泌系が重要な役を持ち、拮抗する要素がせめぎ合って生体のバランスを保つ。 これを一般には「ホメオスタシス」と呼んでいる。 まずは免疫機能もそれに当たる。たとえば感染に対する白血球の働きもそうだし、我々の体の中では絶えずがん細胞が発生するが、それをただちに殺すのも、リンパ球である。 また生体は機械と違い、「修復」、「再生」の機能を有している。 タイヤを例にとろう。 パンクした時に、一人でその亀裂がくっつくことはあり得ない。だが、人間の皮膚は、切り傷程度なら絆創膏で寄せておけば、自然にくっついてくれる。当たり前のように思っているが、これは「修復」と呼ばれる重要な機能である。 また、タイヤの溝がすり減れば交換が必要になる。ひとりでに溝が恢復することはあり得ない。だが、人間の皮膚は外力が摩耗して垢となって脱落するが、それを内部の細胞が分裂して補充していく。これが「再生」である。 こう長々と書いたのは、今日、眼科の検査で、水がたまって剥離した黄斑部の網膜が、前回に引き続き水が減少し、剥離が恢復されてきていること分かったからである。 そしてなぜ病気になったかではなく、何故自然に回復していくのか、その自然治癒力すなわち復元力に感謝する余裕ができてきたからだ。
by n_shioya
| 2010-06-04 23:03
| 老年病
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Comments(4)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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