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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
昨日のセミナーの後半では皆さんと一緒に“高齢者の恵み”について考えてみた。
年を取るとほとんどの機能が衰えることは確かだが、一つだけ確実に進歩していいはずのものがある。 それは経験の積み重ねである“判断力”だ。 これも含めて、知恵、いや叡智とも呼べるものは“年の功”というべきではなかろうか。 それもこれも、認知症にならなければの話だが。 そもそも抗加齢というのは人間だけに許された特別な悩みといえる。 普通の動物は生殖期が終わると死んで行くからだ。 でもそれでは生命の意義とは何だろう。子孫をつくる。その子孫もたださらに子孫をつくだけに存在する。結局それでは、それぞれが個体として存在する意味は何もないことになりはしないか。 しかし我々人間だけが生殖器を終えてもなお生き延びることが許される。 そして今や、成長期以上に高齢期が長くなった。 この期間を自己完結の為の天の恵みと考えるべきではなかろうか。 改めて列挙すると、この年になって初めて享受出来る様々なことがある。 断片的にはこれまでブログでも取り上げてきたが、 まずは、過去との折り合いをつけるチャンス。 人によっては親との折り合いということもあるだろう。たとえ親はもういなくても、いやいないからなおのこと。 僕の場合は軍国主義の日本という国家に対する恨みつらみ。あの恐怖政治。 こだがれもそうせざるを得なかった方々の悩みや、回避の努力がわかってくると、許す気にもなってくる。 とくに、もし自分がその立場だったら、やはりあのような愚かしい行為に走ったり、不作為の罪を犯していたかもしれないと思うと。 それはまた、過去の自分を許容し、むしろ積極的にその成果を認め満足することにもつながる。 男なら仕事であろうし、女性の場合は子供かもしれない。子育てに追われて、と思わずに、子育てという大した事業を成し遂げたと自分を褒めてあげる。 そしてまた、若い時はすぐにかっかと来て、若気の至りを繰り返したのが、この年になると平常心が生まれてきて、人との折り合えも付け、生き易くなってくる。 男性学の権威はそれは、男性ホルモンの欠乏だといっても、それで結構! そのほかとりあえず列挙すると、 ①小食で足りてなお太り気味なのは燃費がよくなったせいとおもえばよい。 ②人との交わり。義理は欠いても、好みの少数を大切にする我がまま。 ③余暇を楽しむ。旅行や趣味の実現。 ④功名心が功上心へと置き換わっていく幸せ。 これらがすべて、そしてさらにもっと高齢者のQOLに繋がる恵みがあり、今後一つずつ検討していきたい。 最後に皆さんに、 “何時までも、夢を持ち続けるように!”と激を飛ばして、三回のアンチエイジング・セミナーの〆とした。
by n_shioya
| 2010-05-28 23:28
| アンチエイジング
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Comments(4)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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